多産DV一家の特徴とは… 

一方で“多産DV”の言葉に迷惑をしている人もいる。望んでの子だくさん一家だ。

「うちは子ども好きで子だくさんなのに『ご主人多産DV?』と冗談半分で言われて嫌だった」「4人いたら多産DVみたいな風潮はどうなの?」という声がSNSでも散見される。

そこで、“多産DV一家”はどういった特徴があるのかを、30年以上にわたり産婦人科医として数多くの多産DVの女性と接し、富山県議会議員としてもDV撲滅に向け活動する種部恭子氏に話を聞いた。

まず、多産DVをされている女性だとどのようにわかるのか。見た目で判断できるところはあるのか。

「見た目からは判断できません。生活保護を受給している困窮家庭もありましたが、私のクリニックを受診されたかたは、身なりがキチッとされていて、夫の職業は、医師や公務員など社会的地位があるかたも少なくないです。

わかりやすかったのは、婚姻関係にありながら『緊急避妊をしたい』と、一度ならともかく、短期間に繰り返し受診された方です。

話を聞くと、『身体的にも精神的にもしんどいので、もう産みたくはないが、男の子ができるまで産み続けろと夫に避妊具を拒否されている』と。胎児が女の子だとわかり、夫に中絶させられたこともあったそうです」(種部恭子氏、以下同)

写真はイメージです(写真/Shutterstock)
写真はイメージです(写真/Shutterstock)

たとえ夫婦であっても、支配下に置かれて行われる合意のない性交渉は不同意性交等罪に問われることもある。

「子どもを産み、育てることについて女性からポジティブな回答が得られなければ、多産DVの可能性があります。一概に『何人から』とか、『経済的に困窮しているから』では多産DVとはいえません。

何人目であっても抗えない状況で性交渉が行われ、女性が望んでいないのに妊娠・出産することが多産DVではないでしょうか。

本人が気づいていないことも多いので、『パートナーを怖いと思ったことはない? 避妊に協力してくれる?』と、本音が話せる関係性のかたが聞いてみてもいいかもしれません」