取引先のセクハラを上司に報告したら…

「この時点で大声で怒りたかったのですが、すぐそばには上司がいて、私はまだ入社して数年の新人。迷惑をかけたらまずいと思い、できる限り穏便にすまそうと、トイレの前でずっと押し問答。その間も相手はずっと、私の身体を触って離しませんでした。そのまま数分言い合いをしていたら、別のお客さんがトイレにやってきたタイミングで、やっと相手が手を離してくれました。もし一緒にトイレに入ってしまっていたら……。いまでもそのときの恐怖がよみがえります」

後日、中野さんはこのことを上司に報告したのだが、「そっか大変だったね」の一言で済ませ、平然と次の会食の予定を入れられたという。こうしたことが重なり、中野さんは20代後半で、新卒で入った会社を退職する決意をした。

ほかにも、大手化粧品メーカーに勤めていた30代女性・原田さん(仮名)は、「私の会社では男性の上司に気に入られないと絶対に出世ができませんでした。気に入られるとは早い話、“そういうことをする”ことです。会社の仕組みを理解したとき、私は辞職届を提出しました」と語る。

職場で受けるセクハラの数々(画像/Shutterstock)
職場で受けるセクハラの数々(画像/Shutterstock)
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「#MeToo」のように活動が広がっている「#私が退職した本当の理由」。フジテレビの騒動をきっかけに、体制を見直す企業が増え、社会全体が浄化されていくことを願うばかりだ。

取材・文/集英社オンライン編集部