トイレの前で待っていた男性社員

さらに中には真偽は不明であるものの、有名な大企業の企業名を明かしたうえで、そこでの酷い体験をXに投稿する人まで出ている。

大きな企業ほど、そのあたりのコンプライアンスを徹底しているかと思いきや、案外、そうでもないらしい。30代の会社員女性・中野さん(仮名)もまた、とある大手飲料メーカーで働いていた20代のころに、強制的に会食に誘われてセクハラを受ける機会が多かったと話す。

「私が勤務していた会社では、20代の女性社員は“営業部隊”みたいな感じで扱われ、上司に半ば強制的に誘われて、取引先との会食に毎週のように行っていました。もちろん、そこの先では、本当にただの会食だけで済むこともありました。しかし中には、身の危険を感じるほどの会食もあったのです」(中野さん、以下同)

それは、とある広告代理店との会食だった。芸能界やテレビ界とのつながりが深く、体育会系のノリが染みついているその会社の社員たちとの会食は、明らかに今までの様子とは違ったという。

会食の相手によって飲み会がよからぬ方向に(画像/Shutterstock)
会食の相手によって飲み会がよからぬ方向に(画像/Shutterstock)

「飲みのペースが尋常じゃないほど早く、女性社員たちをベロベロに泥酔させようとしている魂胆を会の序盤から感じました。取引先なので、私も頑張ってペースをあげて飲んで、相手の気分を害さないようにしていました。そして会の途中、トイレに行ったところで、なぜか扉の前に取引先相手の男性が立っていました。

『大丈夫?』と声をかけられ、『あ、はい』と普通に答えてその場は終わったのですが、なんでトイレの前で立っているのだろう? と少し疑問に思いました」

中野さんはその後も飲まされ続け、二度目のトイレに。すると、またもその男性がトイレの前に立っていたという。

「酔いが回り、少しだけふらついて歩いていたら、その男性が『大丈夫?』と声をかけながら、私の身体を抱き寄せるように触ってきたのです。『ほんとに大丈夫なので』と離れようとしても『心配だから』と手を離さず、そのまま一緒にトイレに入ってこようとしました」