防御有利の世界では戦争が起きにくくなる
銃社会と同じで、国際社会も攻撃有利の場合には戦争が起きやすくなります。なぜなら、防御を強化しても相手の攻撃を完全に防ぐことが難しいため、国々は「自分たちが先に攻撃した方が効果的」と考えるからです。
この世界では「先手必勝」「攻撃が最大の防御」といった考えが重んじられます。このような状況では、戦争は「予防戦争」として始まりやすくなります。予防戦争とは、相手が強くなる前に自分から攻撃することで安全を確保しようとする戦争のことです。
また、攻撃有利の状況では国際協力が難しくなります。相手を騙して油断させたり、約束を破って相手の隙をついたりする方が、攻撃が成功する可能性を高められるからです。このような行動が当たり前になると、国々はお互いを信じられなくなり、約束を結ぶことが不可能になります。
さらに、国々は他国が隠し持っている攻撃力も心配するようになり、余分に武器を増やします。これが「軍拡競争」という状態です。軍拡競争では、どの国も「念のために相手よりも強い軍事力を持っておこう」と考えて攻撃力を高めていくため、戦争の可能性が高まるだけでなく、その規模も大きくなります。
一方で、防御有利の世界では戦争が起きにくくなります。防御力さえしっかりしていれば、相手の攻撃を防げるからです。また、相手も「攻撃は成功しないだろう」と判断して攻撃を諦めます。
例えば、相手が100発の攻撃用ミサイルをこちらに向けていたとしても、こちらが迎撃ミサイルを100発用意していれば、自らを十分守れますし、相手もそれを理解するので攻撃用ミサイルを撃とうとは思わなくなります。
また、攻撃が成功しにくいため、わざわざ相手を欺いてまで攻撃しようとしなくなります。これにより、国際協力も容易になり、平和を維持しやすくなります。
防御が有利だと、武器をお互いに減らす「軍備縮小」が進みやすくなります。特に攻撃用兵器(弾道ミサイル、爆撃機など)に意味がなくなるため、積極的に捨てようとする機運が高まるのです。