貸金庫の顧客が来たら電源を切って…

今村容疑者は顧客が鍵を紛失した場合に備えて行内に保管していた「予備鍵」とマスターキーを使って犯行を繰り返しており、同行は予備鍵を本部で一括管理するなどの再発防止策を打ち出している。

同容疑者は1999年に都内の短大を卒業して一般職(事務や窓口業務)として東京三菱銀行(当時)に入行、その後に勤務実績を評価されて管理部門を担う総合職の試験に合格した。

「今村容疑者は真面目な勤務ぶりの一方、競馬やFX投資で大きな損失を出して消費者金融にも借金を抱えており、練馬支店に勤務していた2020年4月、営業課長に就任して貸金庫管理を任されるようになったのを機に盗みを始めたとみられます。

当初は現金だけを抜き取る手口でしたが、次第に金塊を盗んで質入れして現金化するようになり、別の顧客の貸金庫から金品を移動するなどの自転車操業で犯行の発覚を遅らせていた。同支店や玉川支店で支店長代理を務めるなどキャリアアップしながら、犯行自体もどんどんスケールアップしていったようです」(警視庁担当記者)

逮捕された今村容疑者
逮捕された今村容疑者
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今村容疑者は貸金庫の顧客が事前連絡なく突然来訪した際などには電源を切ってシステムを遮断、故障を装うこともあったという。

♯1でも報じたように、練馬区内の資産家に嫁ぎながら質素で目立たない存在だった今村容疑者。近くに住む、この一家が所有する駐車場を借りているという女性もこう印象を語った。

「由香理さんは質素でブランド品も持たない、腰も低くて感じのいい方でした。お金もほとんど使わなかったんじゃないかしら。ご主人は銀行じゃないどこかの会社の勤め人で、きっちりとした感じで、駐車場代も少し前まで手渡しなんだけど帳簿もパソコンで細かくつけてましたね」