独房内のカメラに見せつけるように服を脱いで……
「保護室」とは、拘置所内で規則違反や反則行為をした場合に、ほかの収容者と隔離され、行動が厳しく制限される収容部屋である。
岩本が収容された保護室は、どのような場所だったのか。
「私が入った保護室は、窓のない3畳ほどで閉鎖感でとても暗く感じました。中には剥き出しの便器があり、用を足しても自分で流すことができません。
この場所は外の世界にはない、この世の地獄だと思いました。
食事の差し出し口から少し光が漏れ入るだけなので、一瞬でも気を抜けば、恐怖と絶望で頭がヘンになってしまいそうでした」
その懲罰房に、岩本は3回ほど入れられたという。
「当時は、刑務官に八つ当たりをしてしまいましたね。『あなたに私の何が分かるんだ』のような。
小窓から食事をばら撒いて保護室に入れられたこともありましたし、独房内のカメラに見せつけるように服を脱いで入れられたこともありました。
時計がないため時間の感覚はありませんでしたが、1日だけのときもあれば、3日間ほど入れられていたこともあったと思います」
岩本は沼津拘置支所に移ったあと、鑑定留置のために3ヶ月間を過ごし、さらに延長されて1ヶ月間の拘留生活を送ることになった。なぜ、期間が延長されることになったのだろうか。
「精神科医による絵を使ったテストのようなものがあり、そこでおもむろにハサミの絵を見せられました。
そのとき、私は『お腹の子どもを取り上げた器具は、これだったかもしれない』と恐怖を覚え、叫んでしまったんです。完全なPTSDでした、子供が危ないと思ったんです。
拘置所では、子どものことばかり考えていました。娘の名前を『夢』にしようと決めていたので、夜中に眠れないときはその名前を呼びながら、壁や空中やお腹に向かって話しかけていました」
その後「心神耗弱」であると鑑定された岩本は、静岡県内にある精神科病院の閉鎖病棟で4ヶ月間を過ごした。そこでの生活を、次のように振り返る。
「周囲には、拒食症でガリガリに痩せている方や、寝たきりの方もいました。グループワークでは塗り絵や折り紙をするなど、退屈な時間が続きましたね。
でも、当時2019年11月に沢尻エリカさんが薬物で逮捕されたニュースを見たとき、私も美しく復帰したいと決意したんです。私は彼女の大ファンで憧れているので」