ヤクルトと楽天の蜜月関係

とくにヤクルト→楽天のルートは顕著で、自由契約となった助っ人外国人のヤフーレ、楽天から2020年に移籍した今野龍太、近藤弘樹(今オフ現役引退で楽天アカデミーコーチ就任)も出戻り、現役ドラフトでは柴田大地を獲得し、そして今回の小森、コーチ陣では森岡良介と、今季だけでも6人の人材がヤクルトから楽天へと移っている。

「これは、現職に復帰した三木監督、石井GMがともにヤクルト出身であることもさすがに無関係とは言い切れないでしょう。この流れを受けて『東北楽天スワローズ化が止まらない』と皮肉を言う両球団ファンも少なくありません」(前出、ヤクルト担当)

楽天とヤクルト間の移籍一覧
楽天とヤクルト間の移籍一覧

 逆に、東日本大震災の際の「見せましょう、野球の底力を」のスピーチで楽天のみならず、東北復興の顔となった嶋基宏は、2020年にヤクルトへ移籍し、今季から専任ヘッドコーチに就任。将来の監督候補のひとりとなっている。このように選手、コーチ陣ともに人材の“交換”は毎年の恒例行事となっている。

ただ、選手の移籍後の活躍で見ると、ヤクルトのほうがやや分がありそうと話すのは、前出の楽天担当記者だ。

「昨季、楽天を戦力外となってヤクルトに拾われたかたちの西川遥輝はセンターのレギュラーとして113試合に出場、今野も昨季こそ登板機会に恵まれなかったものの、2021、2022年のセリーグ連覇を中継ぎで支えました。近藤も2021年前半の活躍は印象的。

一方で、ヤクルトから楽天へと移籍した選手はといえば、宮出隆自が移籍初年度の2010年にそれなりの打撃成績を残すも、川島亮、由規などは登板機会すらほとんどなかった。近年、ヤクルトは楽天から移籍した選手の力で2度のリーグ優勝をしていることを考えると、この蜜月関係はヤクルトが得をしていますね」

今回の茂木、小森の移籍はそれぞれの球団にどのような影響を与えるのか。今季はそのあたりも注目したい。

取材・文/集英社オンライン編集部