メンタルの状態によっては見ないほうがいい日もある
もっとも、妻が「仕事」を手に入れて稼げるようになれば、モラハラ夫や家事育児に協力的でない夫とは離れてもいいわけで、令和のVERYにはシングルマザーのモデルが出てきたり、離婚やモラハラに関する特集が組まれたりもしている。
「基盤」は女が自分で作る時代です!という心強さがあって好感が持てるのだが、シングルになったとしても「時間割り」が超タイトでワーママが寝られないことには変わりがないだろう。なんなら、よりゴリラになる必要があるに違いない。
私はこの「私の『新しい時間割り』」ページの「5時起床」の文字を見るだけで「私にワーママは無理だ……」と思う。
なにせ10時からオンライン会議がある日は9時50分まで寝ている人間なのである。「母になったらやらざるを得ないのだから、そうなればできるようになるもんだ」と言われるかもしれないが、そもそもやらざるを得ない状況にはなりたくないというのが本音である。
同僚は子供を育てながらフルタイムで働いている。彼女は「ゴリラにはなりたくない!なれない!」と言い、「ゴリラにならなくてもワーママができる世の中になってほしい」とよくこぼしている。
しかしそんな彼女も分刻みのスケジュールを日々こなしながら、子供の離乳食を作って食べさせ、床にこぼされた離乳食を拭いたあと、夜遅くに仕事に戻ったりしているという。自分の世話しかしていない私からしたら、すでに十分立派なゴリラである。
そうかと思えば子供を育てながら会社を経営したり、子供を育てながら仕事もして大学院に行ったりしているスーパーゴリラワーママもいたりして、人と比べはじめたらきりがない。もう搭載しているエンジンが違うとしか思えない。
そういうスーパーゴリラワーママは「女性だったり母だったりしてもやりたいことを諦めなくてよい」という希望をくれる一方で、「あの人は子供を育てながらあれもこれもやっているのに、私ときたら……」という、底なしの自己否定沼へ引きずり込むこともある。
スーパーゴリラワーママは何も悪くないけれど、メンタルの状態によっては見ないほうがいい日があるのもたしかだ。