「陰謀論」と相性のよいスピリチュアル
それでは、そんな「陰謀論」と相性のよいスピリチュアルとは何でしょうか。色々な説明の仕方がありますが、私は「仮説構成体」を補助線にするのがよいと思っています。
いつも勉強がはかどらないのに、なぜか今日は長時間できてしまう。いつもはいじめっ子に立ち向かえないのに、今日は歯向かうことができた。こうした上手く説明ができないことは、日常生活には沢山あります。
しかし、「やる気」や「勇気」という目には見えない言葉や概念を導入してみるとどうでしょうか。やる気がでたから勉強ができる、勇気が湧いたから立ち向かえる、といったように上手く説明ができてしまいます。
このように、それがあると上手く説明できる言葉や概念が仮説構成体です。
スピリチュアルの世界もまた、「仮説構成体のようなもの」を補助線とすれば、その界隈と無関係の私たちにも大まかに理解ができます。
頭の中にある考えが突然浮かんだという不思議な現象については、神から「波動」を受け取ったから(物理学における波動とは別物です)とか、宇宙の意思と「チャネリング(交信)」したから、といった具合です。
「やる気」「勇気」が「波動」「チャネリング」に変わっただけです。
人間は思ったよりも容易に神秘体験をしてしまうようで、しかもその威力は絶大です。そんな神秘体験とそれを説明する「仮説構成体のようなもの」が分かち難く結びついてしまえば、自ずとそれは「仮説」ではなく「真実」となり、やる気や勇気と同じように、ありありと波動やチャネリングが実感できるようになるのでしょう。
しかし、だからこそ「陰謀論」と結びつくと非常にマズイことがおきます。
波動やチャネリングによって、神や宇宙意思といった世俗を超越した何かの声を聞いてしまえば、「陰謀論」の正しさが、これ以上ないくらい強力に裏付けられるからです。
その界隈で組み立てられた強引な推論に対し、それは正しいというお墨付きを超越的な何かから受け取ってしまえば、そこに疑いを挟むのは難しいでしょう。