感情的な分断を増幅させる装置として、SNSを悪用

日本でも、ポピュリズム的な要素の強い政党のリーダーは “お行儀の悪さ”が目立つ。

「日本保守党の百田尚樹さんの“子宮摘出発言”なんて、通常であれば失脚につながるけれども、そこは許され、れいわ新選組の山本太郎代表も過去にデマや風評被害を広める発言を繰り返していますが、支持者はそれを許容する。立花孝志さんについては……言うまでもありません。テレビやラジオ、新聞・雑誌など既存のメディアに対しては、高潔で慎重な振る舞いが求められ、小さなミスや軽率な発言は厳しく追及され、どこまでも揚げ足を取られるいっぽうで、ポピュリストは“お行儀の悪さ”さえ武器にして支持を集めることができる」

立花孝志氏(12月8日大阪府泉大津市長選の演説会場にて) 写真/集英社オンラインニュース班
立花孝志氏(12月8日大阪府泉大津市長選の演説会場にて) 写真/集英社オンラインニュース班

このムーブメントを加速させているのがSNSである。X(旧Twitter)では、既存のメディアや既得権益層だとされる人々の発言に対し、重箱の隅を突くような揚げ足取りが横行している。

一方で、ポピュリストの発言はどんな過激なものでも偽りのない“本音”として歓迎される傾向にある。発言の内容ではなく“誰が言ったか”によって批判や支持の基準が変わる。こうしたダブルスタンダードが、さらなる分断を生んでいる。

「社会全体の感情的な分断を可視化し、増幅させる装置としてのSNSを、無節操なポピュリストたちが悪用しているのは誰の目から見ても明らかです」