「あの頃の義家弘介を思い出せ!」教育方針を180度曲げてしまった“ヤンキー先生”に旧知の作家が望む「再更生」
2003年に放送されたドキュメンタリー番組『ヤンキー母校に帰る』。高校中退した不良が教師となり、更生させてくれた母校に教師として戻ってくる話だ。ドラマ版では竹野内豊が主演し話題となった。そのモデルとなった義家弘介氏はその後、政治家の道へ(現在、落選中)。
そんな現在の氏の生き方に違和感を感じ、けじめをつけたいと語る男がいる。長年の取材から同番組を制作し、彼を世に送り出した元北海道放送ディレクターでノンフィクション作家の河野 啓氏だ。
落選後、どう生きていくのか?
――今後の義家氏に望むことはありますか?
私は「政治家の義家氏が作ろうとしている学校に、当時のヨシイエが通ったらいったいどうなるのか?」と問いたいです。彼の未来を想像することは非常に難しいです。
ただ、今回落選したことで時間もできたことですし、ゆっくり時間をかけてよかった頃の自分を取り戻してほしいですね。
私たちが思う「よかった頃の彼」と彼が思う「よかった頃の俺」はそんなに違ってはいないのではと思います。「法務副大臣の俺」ではなく「生徒と向き合ってた俺」を思い出すのではないか。そうあってほしいです。
本を書くにあたって義家氏に取材を申し入れましたが、叶うことはありませんでした。せめて彼自身が今回の本への反論でもいいので、自分の人生を自分の言葉で正直に語ってほしい。総括してスジを通してほしいと願っています。
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取材・文/宿無の翁 写真/わけとく
ヤンキー 母校に恥じる—―ヨシイエと義家氏
河野 啓
2024/11/11
1,760円(税込)
280ページ
ISBN: 978-4866809410
私の知るヨシイエはもういない。自民党の集まりやメディアで「ヤンキー先生」と紹介されている人は、私が描いた「ヤンキー先生」とは別人だ。
それならば、私にできること、しなければならないことは、一つしかない。
「ヨシイエ」と「義家氏」の間に、境界線を書くことだ。できるだけ濃く、できるだけ太く。
私はささやかだが、ある行動を起こすことにした。
――『デス・ゾーン 栗城史多のエベレスト劇場』で開高健ノンフィクション賞受賞の著者による、悔恨と検証のドキュメント。