「真のエンターテイナー」と呼べるアイドル
名だたるアイドルたちに指導してきた振付師の三浦亨さん。
キャンディーズ、中森明菜や松田聖子など、王道のアイドルを知る彼が、「これぞ真のエンターテイナー」だと衝撃を受けたアイドルは、この男性グループのメンバーだった。
「少年隊のパフォーマンスを初めて見たとき、本当に驚きましたね。パーフェクトだと思った。
特にニッキ(錦織一清・59)。彼のダンス、身体能力、表現力、歌唱力にはやられました。
少年隊の座組はすばらしくて、パッと見てみんなの目を引く華があるヒガシ(東山紀之・58)、他の2人に比べて歌もダンスもいまいちなんだけど、なんともいえない愛くるしさがあるカッちゃん(植草克秀・58)、――いや俺たち業界人は“ウーサー”って呼んでいたんだけど――、それを、表現者としてパーフェクトなニッキがひっぱっている……。
俺が振り付けた曲は『ABC』(1987年)くらいだけど、少年隊の曲の場合、いろんな振付師のバージョンがあるんです。でもどれも、ニッキがアレンジして、独自のものにしているんですよね」(三浦さん、以下同)
きらびやかな衣装でバク宙を連続してするといった、彼らの華麗なパフォーマンスは、バブル景気で浮かれていた当時の世相とベストマッチした。
「少年隊のダンスは本当にかっこいいから、ショーパブですぐ真似されていたんですよ。
ニッキはよくお忍びで観に行って、『もう真似されてた』なんて悔しがってた。だから常にいろんなバーションを考えていましたね。
ニッキはよくいろんなところに顔を出していたから、同じくらい遊んでいた俺は、しょっちゅう顔を合わせましたよ」
時代の寵児となった少年隊だが、三浦さんは錦織の苦悩にも気づいていたという。
「ジャニー(喜多川)さんは、ベストテンで1位とか、レコード大賞とか、そういうわかりやすい万人受けが好きだった。
でも、ニッキはもっと、通をうならせるダンスや演劇を極めたいと思ったんだろうね。
今は自分のやりたいことができていて幸せそうだけど、ジャニーズ(事務所)も、早くからそちら方面にも重きを置いていれば、全世界に通用するパフォーマーがもっと生まれていたと思う」