「裏金問題」という逆風吹く中での“逃げ切り”当選
旧安倍派の「5人衆」の1人と言われ、故・安倍晋三元首相の最側近だった萩生田氏は、政治資金収支報告書への不記載額が5年間で2728万円と、裏金議員の中でも3番目の高額だった。このため党の役職停止1年の処分を受けたものの、政治倫理審査会で説明をすることもなかった。
「これに対して、裏金問題を掘り起こした神戸学院大の上脇博之教授が今年3月、萩生田氏や同氏が代表を務める政治団体『自由民主党東京都第24選挙区支部』の会計責任者ら4人を政治資金規正法違反容疑で東京地検に告発しました。
告訴を受理した東京地検特捜部は5月、萩生田氏らを嫌疑なしの不起訴とする一方、政策担当秘書は虚偽記入罪の成立が認められるが、不記載額などを考慮したとして起訴猶予にしました。起訴猶予も実際の手続き上は不起訴になります」(社会部記者)
司直の手を免れたかに見えた萩生田氏。だが裏金問題で自民党への逆風が厳しいことを悟った石破茂首相ら自民党執行部は、10月の総選挙で、裏金額が多かった萩生田氏には「政倫審に出席しなかった」ことも理由に党の公認を出さないことを決定。
党公認でないため、比例代表の重複立候補もできなくなった萩生田氏に対し、立憲民主党は旧統一教会問題を追及してきたジャーナリストの有田芳生氏を同じ選挙区に立てた。
「裏金と旧統一教会問題の批判を前面に出した有田氏の選挙戦で、萩生田氏が相当追い込まれたことは確かです。経済安全保障担当相を務めた高市早苗氏やジャーナリストの櫻井よしこ氏ら、安倍氏と関係の深かった大物や、かつては日本維新の会の看板だった松井一郎・前大阪市長などが次々と応援に入り、なんとか逃げ切ったというていでした。肉薄した有田氏も惜敗率が高く、比例で復活当選しました。
萩生田氏は選挙後、助けてくれた高市氏が奈良で開いた“同志会”のような会合にわざわざ出向いて礼を伝えたようです」(地元自民党筋)