ロト6当選を誰にも言わなかったワケ
高額当選などしてしまうと、ついつい人に言いふらしてしまいたくなるものだが、久慈さんはロト6に当選したことを誰にも話さなかったという。
「だって言ったら、命狙われちゃうじゃないですか。それに、急に派手な生活に変えちゃうと、会社の人とかにバレちゃいますから。
一度、会社にロレックスをしていったら、社長から『お前、安月給でよくこんな時計買えるな』って言われたので、『友達の香港土産のコピー品です』とかいってごまかしてました。そんな感じでとにかくお金を持ってないように演じてました」
だがその後、久慈さんの金遣いが徐々に荒くなっていくのに、そう時間はかからなかった。
夜な夜な、歓楽街を“パトロール”するようになり、外国人パブや高級クラブで散財。「月に1回のキャバクラ通いが楽しみ」だった男が、気づけばシャンパンタワーに興じていた。
「僕はもともと全然モテなかったんです。男子校出身だし、勤め先はおばちゃんばっか。それが、ちょっとお金の匂いがし始めると、みんなが寄ってくるようになって。
それまで自分なんかに見向きもしなかった保険のセールスレディが、急に色目を使ってくるものだから、そりゃ楽しくなっちゃいますよね。それで、うっかりマンションを買い与えてしまったり(苦笑)。飲み屋のオネーチャンにも、お金目当てでだいぶタカられました」
一方で、当選から三か月後に匿名で始めたブログがメディア関係者の目にとまり、週刊誌に取り上げられたり、テレビ番組に呼ばれることもしばしば。
「最初は、ロト6の当選話が面白いかなと思って、気軽に書き始めたんです。そしたらコメント欄に『氏ね』とか『妄想』とか『自宅をばらす』とか書かれてかなりへこみました。
女性からと思われるメールもたくさんきたんですが、たいていは『ご飯を食べに行きませんか』とか『お金を貸してください』といったお金がらみのものばかりでしたね(苦笑)」
だが、そこは“持ってる男”。このブログが書籍化されると4万部のヒットに。さらに2008年には、この書籍を原作に、テレビ朝日系列でドラマ化されることに。主演はなんと、反町隆史だった!
「僕の役を演じるのが反町さんで、主題歌はEXILEさんですよ。調子に乗るなっていうほうが無理ですよね。飲み屋とかに行ってオネーチャンに『これ、俺なんだよ』って言ったりしちゃって(笑)。書籍も売れて印税は入ってくるし、『先生、先生』ってちやほやされて。当時はまさに人生の絶頂でしたね」
だがこの幸せも、そう長くは続かなかった…。(後編に続く)
取材/集英社オンライン編集部