カメラに映っていた窃盗の様子
器物破損に窃盗、性犯罪未遂まで、そのどれもが信じがたい行為である。それぞれのエピソードについて当時の状況を詳しく聞いた。まずは、“ベッド脇におしっこ”事件だ。
「よくあるのが香水の残り香や体臭、使った後のトイレを流す風習のない方だとトイレ臭さも残ります。その部屋は部屋中に強烈なおしっこのにおいが充満していました。
トイレを流す習慣がない人だと思っていたのですが、いざベッドシーツを取り換えるためにベッド脇に立つと、靴の裏にべチョリと湿った感触が……。慌てて床の絨毯を見ると、壁沿いに積み上げられたゴミの山に液体をかけた跡がありました。顔を近づけると強烈なアンモニア臭が鼻を突き刺してきまして…」(ちくわぶさん、以下同)
生活習慣の違いから、トイレの形状や使用方法が異なるのは理解できるが、ゴミの山に排尿するというのは一体どのような事情があるのだろうか。ちくわぶさんら清掃員にとっては、ベッドマットレスに排尿されるよりはまだマシだったかもしれないと思いつつ、あまりのヒドさに呆然としながら処理をしたという。
問題になっているのは部屋の汚染だけではない。宿泊施設の設備を破損されたり、備品を窃盗されたりといったことは日常茶飯事なのだ。
「とあるお客さまが酒に酔ってテレビのリモコンをモニターに叩きつけたらしく、テレビの液晶画面とリモコンが完全に壊れていました。新しいテレビが来るまで、その部屋は使い物になりませんでした」
テレビを壊されるとはとんでもない被害だが、こちらは故意ではなく事故なので、まだ気持ち的には許せるかもしれない。中には、堂々と窃盗をする者もいる。それが“バスタオル10枚盗む”事件だ。
「ホテルで客室清掃員が大きなカートを押しているのを見かけたことをありますよね。あの中にはリネンやタオルやアメニティがぎっしり入っております。ある日のこと、カートから目を離していた隙にバスタオルが10枚盗まれておりました。
他のお客さまが勝手にカートに触ってアメニティを取ることは多々あるのですが、この量を取ることは普通ありえません。監視カメラを確認すると、滞在中のお客様がカートの上のバスタオルをご自身のキャリーバッグに詰め込む様子がバッチリ写っていました」