防犯グッズでは強盗の侵入を防げない!?
──早速ですが、どんな防犯グッズが防犯効果が高いのでしょうか?
防犯グッズで強盗の侵入を防ぐということはあまり考えない方がいいかなと思います。空き巣のような泥棒には、効果があると思うんですが、昨今の強盗事件では強硬な手段で襲撃してくるので、簡単には防ぐことが難しいでしょう。やはり、日ごろからの防犯意識を高めることが重要です。
──日ごろから防犯意識を高めるとは、具体的にどういうことでしょうか?
自分たちが生活をしていく上で、犯罪被害に遭わないための「生活の仕方」を徹底することです。これを私ども日本防犯学校では「防犯生活」って呼んでいます。
結局、防犯はお金をかけるか、手間をかけるかになるんです。後者の手間をかけて防犯するのが「防犯生活」にあたります。すぐにできることばかりです。
例えば、都市・地方関係なく、盗難被害にあった半数の家がカギをかけていないという事実があります。簡単なことですが、まずは人がいる時でも鍵をかけた生活をしてください。
鍵をかけた生活習慣が身についてくると、「うちは鍵をかけただけで大丈夫なのかしら?」と新しい意識のスイッチが入るんですよ。そうすると次のステップが見えてきて、さらに防犯意識が高くなるわけです。防犯グッズ、ひいては防犯システムを考えるのはそこからです。
加えて、ご近所さんに道端で会ったときは「ちゃんと鍵かけて生活してる?」って気軽に声をかけて、みんなで確認し合うようになっていただければ、地域住民全体で防犯意識が高まり、犯罪者につけ入るすきを与えません。
──つまり、地域住民の意識で、強固な防犯システムをめざすわけですね……
ご近所は顔見知りが多いわけですから、そこで「最近、変な人がウロウロしているね」とか「見たことのない車がたびたび止まっているね」っていう話題を地域全体で共有すると、「ちょっと心配だから、これ警察に通報した方がいいわよね」って、そういう風にもなるわけですよね。
110番通報をすると必ず警察は来ますから、犯罪者からすれば、このエリアは住民の目が光っていてヤバいな」となる。そうして地域全体が犯罪者のターゲットから外れるわけです。
実際、逮捕された泥棒に警察がアンケートを取ったんですが、“人に顔を見られて、声をかけられる”のが一番嫌だと。不審者・不審車両を見たら、顔を見て会釈するとか、あいさつなどの声掛けするととても効果的です。
──狛江市の強盗殺人事件では、事前に不審者や不審車両2台が現場付近を下見していたとみられていますね。
犯罪者はターゲットの家に入る前に必ず下見をします。だからこそ、地域の目で危険を察知し、情報を共有することが重要なんです。