「裏金ではない」枝野氏のお墨付きをアピール

枝野氏をカチンとさせたのは西村氏が出陣式などで見せたある言動。

「(旧安倍派からの還付金は)不記載でもなければ、裏金でもない。じつは今年3月の政倫審で私が弁明した後に質問に立った枝野さんが、彼は弁護士なんでよく調べて質問したんだと思いますけど、こう言っているんです。その時の(枝野さんの)セリフがあるので、ちょっと聞いてください、みなさん!」

と、枝野発言の一部を切り取る形で聴衆に紹介し、自らの潔白アピールに余念がないのだ。

10月17日に行なわれた出陣式に参加したというある男性もこう証言する。

「出陣式の会場内に設置されたスピーカーから、いきなり『計上しているので、たしかに裏金にはなっていない。西村さんの分については裏金にはなっていない』という政倫審での枝野さんの発言が大音量で、しかも2回も流されました」

街頭演説をする西村康稔元経産相(撮影/集英社オンライン)
街頭演説をする西村康稔元経産相(撮影/集英社オンライン)
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この枝野発言だけを切り取れば、たしかに「(還付された100万円は)不記載でもなければ、裏金でもない」という西村氏の主張を、政倫審という公の席で追認していたかのような印象を受ける。

ただし、この枝野発言は時間にして10秒足らず。実際に枝野氏が政倫審で質疑した時間は22分間もあり、その全体トーンは裏金問題への追及で一貫している。

西村氏が潔白パフォーマンスのために切り取った10秒ほどの枝野発言も、その前後を含めて聞けば西村氏を厳しく断罪していることがわかるはずだ。

改めてそのくだりを正確に再現してみよう。