楽天モバイルによる価格競争が起爆剤

しかし現実は甘くなかった。基地局などのインフラ整備に莫大なコストがかかり、巨額の赤字を垂れ流す始末である。とうぜんモバイル事業撤退を求める株主も少なくない。

しかし三木谷社長は断固として引かない構えだ。現在の苦境を乗り越えた先にはドル箱ビジネスが待っている。楽天グループの資金が尽きるまで挑戦は続くだろう。

さてここでいちばん気になるのは、私たち一般ユーザーへの影響である。つまり今後のスマホ利用料の動向だ。楽天モバイルの売りはその利用料の安さだ。他のキャリアに価格競争を仕掛けているのである。そしてそれがモバイル業界に強烈なくさびを打ち込むことになった。

楽天がモバイル事業に参入する前、日本のスマホ利用料は高止まりしていた。2020年3月時点での日本におけるスマホの月額利用料の平均額は5121円(データ容量20GBの場合)。日本、アメリカ、イギリス、フランス、ドイツ、韓国の6か国中、日本は3番目の高さだった。4番目のドイツは3170円だ。実に2000円もの開きがある。

堀江貴文が考える「楽天モバイルの功罪」…巨額の赤字をタレ流してなお“ドル箱ビジネス”を追い求めるのか?_2

それが2021年12月時点になると一変する。日本のスマホ利用料は2376円と劇的に下がったのだ。同じ6か国中で2番目の安さである※3。この大幅な値下がりは、楽天モバイルによる価格競争が起爆剤になっている。

事実、楽天の参入後、ドコモは「ahamo」、KDDI(au)は「povo」、ソフトバンクは「LINEMO」といった低価格プランを新設。楽天に対抗したわけだ。私たち一般ユーザーにとって価格競争の激化は大歓迎である。