リモートワークで後輩指導が困難に
社内でリモートワークができる部署とできない部署での軋轢が生じているという話は多い。
しかし、できる部署の中でも、やりたい派とやりたくない派が混在しているのが現状だ。特に“後輩指導”をする立場だと、「リモートワークが負担になってしまう」と、映像制作職の30代男性が話す。
「映像制作という仕事上、機材さえあれば家でも全く同じ仕事ができるし、期限内に納品ができれば何も問題ないということから、ウチの会社ではすぐにリモートワークが承認されました。私は片道1時間近くかけて出社していたこともあり、大幅に作業効率がよくなったと思います。
しかし後輩が入ってきてから、状況は一気に変わりました。私は彼らの指導を任されたのですが、リモートでは指導がうまくできず、レスポンスもラグがあるので、スムーズに作業を進められないのです。
また、リモートといっても、週1の出社義務があるので、そこで後輩と対面で話すのですが、週1では仲も深まらないうえ、相手がその日をピンポイントで休むと、2週間も対面で指導できなくなります。自分1人ならリモート万々歳ですが、確かにチームで動くとなると、リモートは効率が悪いとしか言いようがありません」(映像製作職・30代男性)
リモートワークが全国的に普及してから約4年。実際に社会全体がこの働き方を経験したことで、メリットとデメリットがそれぞれ浮かび上がってきた。これらについて、東北大学特任教授で、人事・経営コンサルタントの増沢隆太氏に改めて解説してもらった。
「フルリモートの最大の負荷は、“一人”であることです。アイデアに煮詰まったときや気持ちがポジティブではないとき、同僚と雑談したり、他人に見られていることによる緊張感が、ダラダラした仕事の進め方から自分を守ってくれる体験を、多くの人がしたと思います」(東北大学特任教授・増沢隆太氏)