糖尿病は薬で治っていない
この50年間で日本の糖尿病患者数は、あろうことか50倍にまでふくれあがってしまいました。その間に医療は飛躍的な進歩を遂げ、多数の薬が開発されたにもかかわらずです。これは糖尿病が、薬では治っていないということ。
病院での治療のメインはインスリンを出す、血糖をコントロールするという対症療法ですが、その前にインスリンのはたらきが抑えられるおおもとの原因を放置しているわけです。
医師とは異なる一歩引いた目線から見ている私は、どこをどうやっても免疫暴走を解消しないかぎり糖尿病患者を激減させることはできないという結論に至ります。なぜなら、免疫が暴走しているかぎり体内の各所にダメージが蓄積し、どんな病気も簡単に悪化するからです。
有害なものを排除し、自らを新しくつくり替えるシステムを担う免疫がズタズタな状態なのですから、それは至極当然のことでしょう。
一定の確率でミスコピーも
【がん】
がんは遺伝子に傷がつき、私たちの体内で日々起きている細胞分裂の際に「ミスコピー」が生じることで起こる病気です。では、なぜ遺伝子に傷がつくのでしょうか。遺伝的要因もありますが、その割合は、がん患者全体のわずか5%程度と言われています。となると、残りの大半はいったい何が原因なのか。
それが、免疫暴走なのです。
というのも攻撃免疫の戦場では、つねに破壊兵器である活性酸素などがあふれており、正常な細胞にまで傷がつくことも多々あるからです。細胞が元気なうちは制御免疫とともに破壊と再生を繰り返すわけですが、同じ部位で集中的に何度も破壊と再生を繰り返していると、遺伝子が傷つきやすくなります。
そうすると何度もコピーしているうちに、一定の確率でミスコピーが起きてしまうのです。さらに、炎症性サイトカインが遺伝子の変異を誘導している可能性もあると言われています。
つまり、何かしらのトラブルを長期間抱えた部位ほど、がん化してしまいやすいということですね。B型・C型肝炎ウイルスの感染から発症する肝臓がんや、ピロリ菌感染から発症する胃がんなどがこの典型で、一度これらのウイルスや菌に感染すると一生体内に残ります。
そのため、本人も気づかないうちに感染したままとなった肝臓や胃で免疫暴走が起こり、破壊と再生を集中的に繰り返すうちに、がん化してしまうことがあるのです。