JOCが誹謗中傷をやめるように呼びかけ

8月11日に閉幕したパリ五輪だが、国際オリンピック委員会(IOC)の選手委員会は18日に、五輪期間中に選手や関係者に対してオンライン上で8500件を超える誹謗中傷の投稿が確認されたと発表した。

競技中にミスをしてしまった選手や、メダルが有力視されていたものの取れなかった選手など、SNS上でたくさんの批判を受けたという。

例えば、日本代表では女子20キロ競歩の出場を辞退し、混合団体に専念することを発表した柳井綾音も非難が集中した一人だ。

レースを直前に控えた7月29日に、柳井は自身のSNSで「たくさんの方から厳しい言葉に傷つきました。試合前は余計神経質になり、繊細な心になります。批判ではなく応援が私たち選手にとって力になります。批判は選手を傷つけます。このようなことが少しでも減って欲しいと願っています」とコメントを発表。

毎回、五輪のときにはさまざまな反応がネット上で飛び交うが、今回は特に深刻だった。

8月1日には、日本オリンピック委員会(JOC)が声明を発表するという異例の事態にも発展。「応援いただく皆さまへ改めてSNS等の投稿に関してお願いがあります。誹謗中傷などを拡散することなく、SNS等での投稿に際しては、マナーを守っていただきますよう改めてお願い申し上げます」とし、侮辱、脅迫などの行き過ぎた内容に対しては、警察への通報や法的措置も検討すると主張した。

こうしたアスリートへの誹謗中傷は日本だけでなく、世界的にも問題になった。なかでも大きな注目を集めたのは、ブレイキン女子に出場したオーストラリア代表のレイチェル・ガン選手だ。

ブレイキン・オーストラリア代表のレイチェル・ガン。写真:ロイター/アフロ
ブレイキン・オーストラリア代表のレイチェル・ガン。写真:ロイター/アフロ
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「クロネコヤマト」の制服のようなユニフォームを着用し、独創性あふれる“カンガルーダンス”を披露した彼女だが、残念ながら得点は0点であえなく敗退。すると世界中のネット民たちが彼女を嘲笑い、〈彼女をアスリートとは呼ばないで。それはスポーツ選手に対する侮辱です〉〈完全なピエロ〉〈カンガルーに謝れ〉と口撃を開始。

さらに、同国のオーストラリア人からも〈国に恥をかかせた〉〈彼女がオリンピックの出場選手に選ばれ、そのために税金が無駄に使われた〉〈彼女を非難することは別にイジメではない。オーストラリア人だけど彼女を擁護しない〉と批判が相次いで収拾がつかなくなり、ついにはオーストラリアのアルバニージー首相がレイチェル・ガン選手を擁護するコメントを出すまでにいたった。