現場は自立支援をサポートする施設
現場のマンションは、高齢や前科などの理由で生活に困窮している人たちの自立支援などのサポートをしている施設で、2人はともに入所者だった。事件のあった14日、Aさんは1人で近所で買い物などをして施設に帰ってきたところ、小材容疑者と鉢合わせたという。施設長が「集英社オンライン」の取材に2人の関係や当時の様子を詳細に証言した。
「小材と被害者は年齢も近いこともあり、もともと仲もよくて交流があったんだ。被害者は軽度の障害があって療養手帳も持っていた。面倒見のよい小材が何かと世話を焼いていた。小材はヤンチャではあるけど、人間味もあってね。被害者がちょっとしたことで嘘をついたりすると、注意したりもしていた」
良好だったはずの2人の関係性に何が生じたのか。施設長が続ける。
「小材はちょっとおかしくなっていたんだと思う。被害者はケンカをふっかけるようなことは絶対しない子だし、おそらく小材が一方的に殴りつけたんでしょう。小材は空手経験者で腕っぷしには自信があるらしく、『自分はケンカになっても手を出さない。過剰防衛になっちゃうから』と普段から言ってたぐらいなんだけど。でもああやって手を出しちゃって……」
この日、施設長はAさんに殴りかかる小材容疑者に気づき、止めようとしたという。すると…
「小材は『この子が僕の魂を抜こうとしてる。魂を抜いたり魂を入れようとしてる』とかそんなことを繰り返すので、これはもうだめだなと110番したんです。僕が見た時は、暴行自体はそこまで激しくはなくて、被害者も出血したり怪我をしている様子もなかったんです。ただ、泣いてうめき声をあげ、ひきつけを起こしていたので救急車も呼びました。
僕が間に入って止める前に2人の部屋がある4階で暴行をしていたみたい。その後、1階に降りてきて『オラーッオラーッ』って怒鳴り声が聞こえたので僕が止めに行ったという流れです。
被害者は泣きながら唸っていたけど、2人の間には距離が開いていて、小材が殴り続けているという状況ではなく、気づくとたまに小材が叩くという感じ。
被害者のシャツがめくれて腹が出ていて、そこを小材が平手でパチンパチンと叩くので、やる度に止めた。最初はそんなにダメージありそうじゃなかったんだけど、魂うんぬんのこともあって110番して、続いて119番した。
小材はフラッシュバックなのか禁断症状なのかわからないけど被害妄想みたいになってて、正直正常な様子ではなかった」