読者のレスポンスを反映させたストーリー作り
――作中では、個性豊かなキャラクターが登場します。
森若さんは生活まわりの細かい描写を書くのが楽しいし、太陽くんは単純で表裏のない男の子で可愛いなと思っています。中途入社の経理部員・麻吹美華は当初は嫌われ者の立ち位置でいく予定でしたが、予想外に人気が出たので路線を変更して今のような人物像になりました。他にも経理部員では森若さんの上司の田倉勇太郎がお気に入りで、つい試練を与えたくなってしまいます。
――読者の声を積極的に拾って作品に反映されているようですが、それが青木さんの執筆スタイルなのでしょうか。
すべての作品でこういう書き方をするわけではありませんが、『経費』に関しては、読者のレスポンスを意識しています。特にリアルに組織で働いている人たちがどう思うかは気になりますね。森若さんと太陽くんのロマンスについては、コバルト文庫を書いていたときと同じように、恋愛っていいなと思ってもらえるように書きたいと思っています。
最新刊の9巻では二人の関係が重要な局面を迎えますが、シリーズを続けるうえでこの話を避けては通れません。とはいえ、人生の選択肢はひとつではありません。何が良い悪いではなく、何を選ぶかである、という森若さんの姿勢は崩さないつもりです。
――『経費』はテレビドラマ化されて好評を博しました。メディアミックスをきっかけに読者層も広がったのではないでしょうか。
読者層の主力は働いている女性ですが、会社が舞台のお話なのでサラリーマンの方が買ってくださったり、ドラマがきっかけで普段は本を読まない方や、ジャニーズファンの方も手に取ってくれました。そうした方が今も読み続けてくださっているのがとてもありがたいですね。