釣り堀、映画館、披露宴会場…まだまだあった廃業後の「銭湯」仰天活用法
「快哉湯」は喫茶店以外にも、一般の方に向けてレンタルスペースとしての貸し出しサービスも実施。映画館の上映イベントや個人のコンサートイベントにも活用されるほか、保育園の謝恩会や結婚式の披露宴会場としても利用された実績がある。「斬新ですよね」と多田さんは笑う。
全浴場組合によると、全国の公衆浴場は1968年の1万7999軒をピークに減少の一途をたどり、2024年には1653軒まで減少した。そんな中、廃業後の銭湯建築をユニークに活用したのは「快哉湯」だけではない。
同じく台東区にある200年の歴史を誇る旧「柏湯」は1993年から近現代のアートギャラリーを展示する「スカイザバスハウス」に。品川区にある旧「荏の花温泉」は釣り堀&お好み焼き屋「旗の台つりぼり 笑山」として予想外の方向へと姿を変えた。
大正末期に創業された建築をそのまま維持し、浴室を釣り堀、脱衣所を食事スペースにするという斬新さに地元住民は驚きつつも、連日小学生や親子連れでにぎわっている。また京都府にある旧「藤の森湯」は銭湯当時のタイルをそのまま使って喫茶店「さらさ西陣」へと生まれ変わった。
減少の一途をたどる銭湯建築だが、日本独自の建築物と文化空間が今後どのように活用されていくのか、目が離せない。
取材・文・撮影/集英社オンライン編集部