部活に打ち込む当事者の思いは…

このように大人たちの思いはさまざまだが、朝練をする当事者である学生たちはどう思っているのだろうか。実際、始業前に朝練を行なっている本人がどんな思いで朝練をしているのか、都内の中学校で陸上部に所属し、夏休みを前に引退した3年生Dくんに本音を聞いた。

写真はイメージです
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「僕はもう夏休み前に部活を引退しましたが、正直、朝練なんてしんどいですよ(笑)。早起きして練習してから授業を受けるなんて、そりゃあメンドくさいし疲れますから。大人だって運動してから仕事するのはキツいと思うし、こっちは放課後の部活までありますからね。

でも、部活には自分から進んで入ったし、引退まで続けられたってことは、なんだかんだ言いながら嫌じゃなかったんだと思います。結局、やりたい人はやればいいし、『教育によくない!』とか言って大人の都合でなくすことだけはやめてほしいです。別に僕らは練習できれば先生と一緒じゃなくてもいいので、先生がつらいっていうなら、指導専門の人に任せればいいと思います」(Dくん)

確かに、近年は教員の“働かせすぎ問題”が議論されるなど、教育行政は大きな改革を迫られている。しかし、本来、学校は生徒のためにあるもので、当事者である子どもたちを無視して、大人の理屈で朝練の是非は決められない。

教員の負担を軽減しつつ、生徒の意思も尊重できる。そんな部活動のあり方はないだろうか。

取材・文/集英社オンライン編集部