無期囚のテレビドキュメンタリーを観て
某日。水原からの手紙に次のようなことが記してあった。地上波テレビの視聴が許されている時間帯にオンエアされている報道番組についてだった。手紙から抜き出してみる。
(TBSの〕「報道特集」で無期囚の特集をやっていたんですが、見ましたか。自分は見ていてあの番組が何を伝えようとしているのかがわかりませんでした。見ている中で、戸惑い、違和感を覚えました。
「報道特集」については、所内の高齢化の現状をただ流しているだけで、それに対する問題提起などはなく、投げっぱなしの印象を持ちました。50年、60年、〔刑期を〕務めている人がいるということですが、おそらくそれは何度も何度も規則を破り、懲罰を受け続けた結果なのではないでしょうか。
その経緯も示さず、何十年も務めているということをただ見せていることに一抹の危惧を覚えました。
受刑者の運動時間の様子やかすかな「生きる希望」についてもありましたが、そこには反省や被害者、ご遺族に対する謝罪の言葉はなく、その存在すらありませんでした。そのかすかな「希望」という光は、反省や更生、贖罪という大前提のもとそれらを持ち得る者のみに付与されるものであり、体現することで初めて差し込むものです。
反省のない者は、その光を享受するには値しないのではないでしょうか。番組では被害者の存在がすっぽり抜けており、その構成に違和感を覚えました。
私もその番組はたまたまリアルタイムで観ていた。刑務所にカメラが入り、受刑者の半分ぐらいをしめる無期懲役囚の様子を映し出した作品だった。
有期刑の上限が30年になったことから、無期懲役は自動的に30年以上となり、否応なく事実上の終身刑となり、高齢化が進む。獄死する受刑者も多いと番組は伝えていた。