ブレイキンで人生が変わる人を増やしたい

技の組み立てやパワームーブの難易度など、ブレイキンは世界的に見ても飛躍的にレベルが向上している。パリ五輪では誰が勝ってもおかしくなく、拮抗した激戦が予想されるなか、ブレイキン日本代表のShigekixは、どんな心境で大会に臨むのか。

〈パリ五輪〉ブレイキン日本代表Shigekix がオリンピックで「金メダルを獲る」よりも大切にしている、もうひとつの目標_5

「自分のアイデアやフィジカル、スタイルはどんな対戦相手と当たっても見失わないように意識しています。たとえ相手が、自分のできないパワームーブやフリーズを得意としていても、自分にしかない強みや見せ方があることを忘れてはいけない。相手に引っ張られず、自分を出し切ることが重要だと感じています。

相手に合わせようとしたところで、その場しのぎの小手先で通用するものでもなく、かえって不安になってしまう。自分自身のスタンスを大切に自信を持って臨むこと。大勢の観衆が見守る五輪当日のバトルを楽しむことが何より大事だと思っています」

2018年のユースオリンピックでは銅メダルに終わったShigekix。パリ五輪では金メダルを獲るという目標のほか、「多くの人にブレイキンの魅力を知ってもらういい機会にしたい」と抱負を語る。

〈パリ五輪〉ブレイキン日本代表Shigekix がオリンピックで「金メダルを獲る」よりも大切にしている、もうひとつの目標_6

「五輪出場の内定が決まるまで、たくさんのことを学ばせてもらうことができました。当日を迎えるまで、B-Boyとしてさらに高みを目指し、最大限のパフォーマンスを見せられるように尽力していきたいですね。また、パリ五輪がきっかけで多くの人がブレイキンに興味を持ってもらえたらうれしいです。

僕はブレイキンに出会ったことで生活が豊かになり、かけがえないの時間をたくさん過ごすことができ、人生が大きく変わりました。僕と同じようにブレイキンを始めたことで、生き生きする人を増やしたい。これが僕の人生のテーマ。これからもB-Boyとして活動するなかで、ブレイキンの楽しさや素晴らしさを伝えていきたいです」

《前編》〈2024パリ五輪〉7歳での“代役”ダンスバトルデビューから世界トップレベルに。ブレイキン日本代表・Shigekixの少年時代

取材・文/古田島大介 撮影/下城英悟