コロナ禍でまたピンチになるも、さらなる工夫で売上回復

V字回復を果たしたクーリッシュだったが、コロナ禍での外出規制により、またしても悲劇が。

ほかのアイスクリーム商品と比較してコンビニでの販売量が多かったことから、再び売上も苦戦。

その打開策として、このフローズン×チアパックの形態を活かした新たな取り組みに挑戦。アソートタイプやアルコールが入った「クーリッシュ フローズンサワー」や乳製品ではない「植物性ミルクのクーリッシュGreen」など、これまでにない切り口の商品を増やしていった。

「コロナ禍では、とにかくチャレンジすることを目標にしていました。そんななか、お客様から『夏は暑いから買うけど、冬は寒いから買わない』と言われることが多く、気温の影響をよくも悪くも受け過ぎてしまうという問題に直面しました。

そこで、季節ごとに氷のサイズや味わいを変えて発売。春と秋はこれまでどおりの氷で、夏は大きい氷を使用してよりシャリシャリとした食感に、冬は氷を細かくして濃厚な味わいを楽しめるようにしています」

現在の夏バージョンのパッケージには、左上に氷のサイズを示すチャートがある。なお、夏バージョンと冬バージョンの商品は在庫がなくなり次第販売終了
現在の夏バージョンのパッケージには、左上に氷のサイズを示すチャートがある。なお、夏バージョンと冬バージョンの商品は在庫がなくなり次第販売終了

現在では夏バージョンが6月から8月中旬ごろまで、冬バージョンが10月下旬から12月ごろまでの販売となっている。こうした取り組みもあって、2023年時点の夏と冬の売上はいまだに夏の需要が高いものの、ブランド全体の売上は底上げされている。

ここ数年は売上右肩上がり! 目指すは「飲むアイスイーツ」

2003年の発売以来、売上の落ち込みなどの困難に直面しながらも、さまざまな発想の転換や企業努力でこれを乗り越えてきたクーリッシュ。そして2024年7月現在、北米を中心とした海外展開も視野に入れているという。

「コロナの影響はあったものの、ここ数年は毎年数十パーセントずつ売上を伸ばしていて、供給が追いつかない時期もあるくらいです。これからも年間を通して買っていただけるように、単なる“飲むアイス”で終わらせず『飲むアイスイーツ』として、日本だけでなく世界中の人々に選ばれるブランドを目指していきます」

現在の冬バージョンのパッケージ。2003年発売時から2023年3月時点までのブランド全体の累計販売数量分の長辺をつなげると、地球7周分(※)以上になるのだとか。※地球1周=赤道1周で換算
現在の冬バージョンのパッケージ。2003年発売時から2023年3月時点までのブランド全体の累計販売数量分の長辺をつなげると、地球7周分(※)以上になるのだとか。※地球1周=赤道1周で換算
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春夏秋冬、いつでもどこでも楽しめるクーリッシュ。アイスという枠に捉われず、世界中から愛される“ジャンルとしてのクーリッシュ”を目指していってほしい。

取材・文/西脇章太(にげば企画)