日に日に知名度を増す石丸氏
安芸高田市長として市議会やマスコミへの歯に衣着せぬ発言で、ネット上で人気となった石丸氏は、選挙戦では1日10ヶ所以上で街頭演説を繰り広げる時もあり、都内での知名度は日を追うごとに増している。
ドトール創業者の鳥羽博道氏が後援会長として物心両面で応援に入る中、さらに陣営には数千人規模のボランティアが集まっており、国政政党からの支援を受けていないとは思えないほどの人海戦術でビラ配りなどの選挙活動を繰り広げているという。
こうした状況に立憲議員は危機感を募らせる。
「いつも応援してくれる支援者に蓮舫氏の支援をお願いしたところ、『今回は石丸氏の支援をするから無理』と複数から断られてしまった。話を聞くと、共産党が蓮舫氏を大々的に掲げて作ったビラが影響していたようだ。『ここまで共産色を出されると応援できない』と言われてしまった」
共産党は選挙前に「蓮舫さんを都政へ押しあげ」と書いたビラを作成。「日本共産党も蓮舫さんを全力で応援します」と党名をアピールして支持を呼び掛けていた。
それによって立憲支持層の中でも保守的な人たちの票が逃げてしまったとも言われている。
別の立憲関係者は「今回、蓮舫氏は立憲民主党を離党して、幅広く支援を求めるという戦略を取ったが、一方で共産党が応援で前面に出るなどチグハグな対応になってしまった。
共産色を強く出すのであれば、立憲の推薦候補として擁立して、立憲色を強めたほうがまだよかったのではないか」と嘆いた。
永田町関係者は都知事選についてこう分析する。
「もし石丸氏が出馬していなかったら、蓮舫氏には勝機があっただろう。小池氏VS蓮舫氏となれば、どうしても小池氏は自民党の応援を受ける中で、裏金問題などの逆風を受けざるを得なかったからだ。
ただ、石丸氏が出馬したことによって、小池氏も蓮舫氏も自民党や民主党で活動してきた『旧来型の政治家』とみなされるようになってしまった。裏金問題に限らない今の政治への不信感を、蓮舫氏も逆風として受ける形になってしまったのだ」
もともと蓮舫氏は都知事選の出馬会見で、小池氏について「自民党の延命に手を貸している」と指摘。
政府与党と小池氏を一体として捉え、都知事選を国政の与野党対決に持ち込むことで、大逆風の岸田政権とともに小池都政を葬り去ろうとしたわけだが、その算段は石丸氏の出現によって大きく崩れ去ってしまったわけである。