〈毎日勉強。昨日の自分を少しづつ超えていく〉
この介護施設は、「夫婦は一緒の職場で働けない」と内規で定めており、結婚後、冬美さんは品川区内にある系列の別の施設に移っている。その施設の広報誌に冬美さんはこんな文章を寄せていた。
〈ご家族が大切なご利用者様を施設へ預けておられるように、私も子どもを保育園へ預けています。保育園へ迎えに行った際、今日はどう過ごしていたのか、ちょっとしたことでも、少しでも伝えていただけると嬉しいものです。(中略)私は大切な子どもを保育園に預ける側になり、改めてご家族の気持ちを知ることができました。これからさらにご利用者、ご家族の気持ちに寄り添った援助をしていきたいです〉
また、別の知人はこう証言した。
「冬美さんは1年くらい前に心を病んでしまって休職し、一度は復帰したけど、またすぐに休職して、それ以来ずっと仕事を休んでいるんですよ。理由は上司と合わなかったからだと聞いています。彼女はストレートな性格で上司と揉めることがありました。休職は(仕事で)精神的にまいったのが原因だと聞いています」
自宅周辺でも夫婦仲や一家に関する否定的な証言は得られなかった。3人の子供の世話も夫婦で分担し、心を病んで出勤できなくなった妻のために、後藤容疑者は介護施設を辞めて自宅でこなせる動画編集の仕事を見つけ、支え合っていたように見えたという。
後藤容疑者のⅩのプロフィールにはこんな書き込みがあった
〈育児中の父ちゃんです。毎日勉強。昨日の自分を少しづつ超えていく〉
近隣住民はこう取材で答え肩を落とした。
「家族仲が悪いとかDVがあったとか、そういう気配は一度も感じたことありません。毎朝7時ごろになるとご夫婦で自転車に乗ってお子さんを保育園に送っていましたし、夜に家の中から子どもが泣き喚いたり、ケンカするような声も聞こえたことなかったので。
それと向かいの家の玄関前の路地には水槽がいくつか置いてあるんですけど、休日になるとよく家族全員で仲良くエサをあげたりしてました。
下の子2人が自転車のチャイルドシートに乗って、上の子が子ども用の自転車に乗ってどこかにお出かけする様子も見たことがあって、『お父さん、お母さん、早く行こう!』みたいに嬉しそうにはしゃいでいたので、一家心中するような家庭には見えませんでした」(自宅近くの住民)
夫として父として、優しく頼りがいのあった後藤容疑者。何を思い“元妻”に手をかけたのか。後藤容疑者は任意聴取の際「家から出て行くよう叱責された」「突発的に刺した」と話していたという。
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取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班