相続税において税務署が一番見つけたいのは「名義預金」。「郵便貯金はスルーされる」はウソ…気をつけるべき税務調査のポイント
現在、日本の税制ではいわゆる「お金持ち」ではない人が亡くなった場合でも、相続税が課税されるようになっていることをご存知だろうか? 果たしてその条件とは? 自分には財産などないと油断していると急に税務調査が来るかもしれない…。
『相続は怖い』 (SB新書)から一部抜粋・再構成してお届けする。
『相続は怖い』#1
「郵便貯金はスルーされる」はウソ
「郵便貯金は申告しなくても大丈夫」と考えている人がいます。
郵便局には税務調査は入らないという噂がありますが、それはウソです。
今は昔の物語となってしまいますが、かつて郵政省対大蔵省の戦いの時代がありました。そのころは大蔵省が郵政省に配慮していたこともあります。縦割り行政の弊害ともいえますが、今はそんなことはありません。
そんな都市伝説にだまされないようにしてください。
名義預金発見のため、経歴を詳細に調べ上げる
手っ取り早く隠された預貯金を見つけるため、税務署は被相続人の経歴を徹底的に調べます。
どんな学歴でどんな仕事に就いていたか、会社の規模、出世コースに乗ったか乗れなかったか、どんなスピードで昇進したか、転勤があった人の場合、それぞれの場所に何年いたのか……それを知るだけで生涯所得がどれくらいだったのか推測でき、そこから割り出して「これくらいの預貯金があってもおかしくない」と考えます。
「それにしては申告書に上がってきた預貯金の額が少ない」という場合、もう一段ギアを上げてさらなる調査へと進んでいきます。
たいていの場合、人はお金を隠したいとき、自分が今いる場所から物理的に遠い場所に隠そうとします。私たちは「遠隔地預金」などと呼んでいるのですが、福岡に赴任した人が、そのあとも各地を転々としたけれども、福岡に残した銀行口座にボーナスの一部を入金していた、などということがあるのです。
だから税務署は赴任先のすべての銀行の調査をします。そのためにまず経歴を押さえることが最重要課題となるわけです。
文/天野隆、税理士法人レガシィ 写真/shutterstock
『相続は怖い』 (SB新書)
天野 隆 (著)、税理士法人レガシィ (著)
2024/4/7
990円(税込)
224ページ
ISBN: 978-4815624323
相続専門税理士が明かす、税務署と揉めずに賢く相続するためのノウハウ!
2015年の税制改正以来、特別お金持ちでない人でも相続税が課税されるケースが多くなりました。
相続の手続きや、税務署が申告書のどこをチェックしているか、といったことは、一般の人々にはなかなか理解しづらいものです。
怪しまれるような節税策をしていないつもりでも、ある日「税務調査」がやってくる可能性も……。
そうなったら怖いですよね。
相続税について調べたり、対策をしていなかったりする「普通の家庭」に、ある日突然税務調査が入り、追徴課税を受けることもあります。
「資産が少ないから」と油断している家庭こそ、じつは危ないのです。
そんな怖ろしい目に遭わないように、相続が発生する前の今のうちから、税務署の「裏側」を知っておく必要があります。
この本を読めば、相続において役所の考え方や税務調査のリアルを事前に理解し、慌てずに対応できます。
税務署が調査対象の家庭の何を見ているのか、どこまでの節税を認めているのか、といった税務署の勘所を、相続専門の税理士である著者が明かし、税務署とモメずに賢く相続するためのノウハウを伝えます!
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