「俺が断ったから佐々木にいったんだと思います」

ところがこの後Y氏は、記者が依頼内容を細かく確認しようとしたところ、我にかえったのか発言を撤回するかのように突然口が重くなった。以下は記者とY氏のやりとりだ。

――確認ですが、関根容疑者は「消す」とか「殺す」とか、「消えてもらおう」と(Yさんに)話した?

「そういうのはないです」

――(宝島夫妻に)店から出て行ってもらうとか、店に関与できないようになってもらう、とか(関根容疑者に)もちかけられた?

「それもないすね。俺自身、詳しい話、知らないんですよ」

――さきほど、面倒くさいな、やばそうだなと思ったと言われましたが、なぜそう感じました?

「全部ですよ。最初から最後まで」

ある捜査関係者は「関根はY氏に、使用者のアシがつかない“飛ばし携帯”と車を手に入れられないかと求めた、との情報があり、このラインで実際に飛ばし携帯が準備された可能性もある」とみている。

この点をぶつけるとY氏は新たな話を口にした。

関根容疑者と宝島さん(知人提供)
関根容疑者と宝島さん(知人提供)

――佐々木容疑者が捕まったときに押収された携帯は、あなたが調達した飛ばし携帯だったのでは?

「あ、違います。佐々木から言われましたもん。『携帯ありませんか?6台ぐらい』と。で、『できないことはないけど、でも何に使うの』って。そんなの、リスクじゃないですか」

――関根容疑者から飛ばし携帯の話は出た?

「ないです」

――では関根容疑者→佐々木容疑者→Yさんと話が来た?

「いや、関根から俺、だと思います。それで俺が断ったから佐々木にいったんだと思います。俺はもう、全部切ってるんで、話。断るでしょ、こんな話、普通。俺だって店やっているんだから」

――それ、いつですか?

「4月のアタマじゃない(かと思う)」

Y氏の話はわかりにくいが、整理すれば「関根容疑者は俺に協力を断られたため次に佐々木容疑者を引き入れ、その佐々木容疑者も俺に飛ばし携帯の入手ができないかと頼ってきたが、これも断った」という内容だ。

Y氏は、関根容疑者から「消してほしい人がいる」と言われたと一度口にした後、同様の表現を口にすることはなかったが、それでも打診内容が、引き受ければ普通の生活を失うことになる、反社会的な内容だったことは隠さなかった。

このことから、関根容疑者は最初から殺害の協力者を求め、指示役の佐々木容疑者にもそう伝えていた疑いがある。佐々木容疑者から指示を受けた平山容疑者は「遺体を処理する実行犯を探せ」と頼まれたと供述しているが、平山容疑者が引き入れた若山と姜の両容疑者は事件が起きた4月15日深夜に、宝島さん夫妻の殺害現場とみられる品川区東五反田の空き家に入っている。

関根容疑者と宝島さん(知人提供)
関根容疑者と宝島さん(知人提供)
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「これまで逮捕された6人の容疑は全員が死体損壊ですが、東五反田の家で若山、姜両容疑者が殺害に加担していたとなれば6人とも殺害計画を認識していた疑いが強くなり、全員が殺人か強盗殺人罪で起訴される可能性もあります」(社会部記者)

また、佐々木容疑者が調達しようとした6台の飛ばし携帯は、これまで逮捕された容疑者の数と同じで、この6人で犯行を行なうため人数分の携帯入手を図った可能性もある。
Y氏は「俺だってカタギでちゃんと生きているし」と語気を強め、事件には加担していないと繰り返しながら、捜査の行方をさかんに気にしていた。

捜査本部は、2月中旬に福岡から上京した佐々木容疑者が、2か月後には関根容疑者の犯罪計画に加担したとみられる経緯に関心を寄せ、Y氏がこの二人をひき合わせた可能性を視野に、3人がどのような関係だったのか慎重に調べを進めている模様だ。動機や犯行に至る経緯の解明のためには、まだまだ捜査で確認することが多く残っている。                          

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取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班