僕は『大家さんと僕』派です
――2003年に清人さんが上京、2005年には大吉さんも満を持して上京し、おふたりは同居生活も送っていますね。
大吉 僕が上京するときに清人に話を聞いたら「家がない」と。ちょうど深夜のお笑い番組にバッドボーイズが抜擢されていた時期で、あの時代だと海外ロケに行く可能性もあった。でも、清人は家がないから住民票を東京に置けなくて、パスポートが取れなかったんです。だから、一緒に住んでまずはパスポートを作らせようと。
住んでみたら思った以上に大人しかった。部屋でずっと絵を描いたりしていて。他の芸人と比べても……うん、独特。でも、別に仲が悪いわけじゃなかった。
清人 大人しかったのは、とにかく大吉さんに甘えていたからです。後輩として、先輩を楽しませようという気持ちが一切なかったというか(笑)。なのに、「俺の部屋で飲むか」と誘われるのを自分の部屋で待っていて。大吉さんから誘われて飲むのがめっちゃ好きでしたね。
――大吉さんは、清人さんの現在の活躍をどのように見ていますか?
大吉 バッドボーイズとしては良くも悪くも佐田がずっと目立っていて。反対に、清人は「何をやっているの?」と周りからずっと言われてきた。その状況を変えるならば、『おばあちゃんこ』を皮切りに、当時の経験をしっかりと売っていくべきですね。芸人にとっては間違いなく財産なので。実際、売れる内容だと思いますよ。ただ、絵はそんなに巧くないでしょう?
清人 (笑)。
大吉 それがリアルでもある。当時の清人の絵日記を読んでいるような感覚があって。とはいえ、僕は矢部(太郎)くんの『大家さんと僕』派ですけどね(笑)。
清人 えっ、そうなんですか……!
大吉 あれはよい。何回も読めて感動できる(笑)。清人の漫画は、僕には生々しくて何回も読めないよ。でも、矢部くんの漫画が幅広い層に支持されるものだとしたら、清人の漫画も、佐田のYouTubeも、バッドボーイズの漫才も、ある特定の人たちに支持される傾向がある。だからそこに向けるべきで。二度とあんな『ONE PIECE』みたいな異能バトル漫画を――。
清人 いや、大吉さん。もう一度、チャンスは欲しいです。
大吉 えぇ? もうああいうことはしなくて良いから(笑)。
清人 肝に銘じます……と言いたいのですが、やっぱり諦めきれません。もう一度、あのファンタジー漫画をきちんと完成させて、お見せできるようにリベンジします!
取材・文/森樹
写真/石田壮一
漫画/おおみぞきよと
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