通常学級での個別対応には限界がある
知的障害の子が通常学級で学ぶ場合、国語や算数などの授業を同年齢の子と同じペースで理解していくのは難しいわけですから、車椅子に乗っている子の体育の授業と同じように、カリキュラムを個別に調整するべきでしょう。
しかし、通常学級は子どもの人数が多く、先生が子どもたち一人ひとりに個別に対応することには限界があります。知的障害の子は、通常学級では十分な支援を得られない可能性があるということです。その場合には、特別支援学級などに通ったほうが個別の支援が受けやすいということになります。
通常学級で友達と一緒に過ごしたい場合
「通常学級に行く目的」が勉強面というよりは、友達との関係性ということもあります。例えば、お子さんが保育園や幼稚園で友達と楽しく過ごしていて、「学校でもみんなと一緒にいたい」と言っているという話になることがあります。
その場合、お子さんが楽しく過ごせる場を保障するということで、通常学級を検討するのもいいでしょう。ただし、そのときには「通常学級で楽しく参加できる活動」「通常学級で十分に学べる活動」「通常学級では学びにくい活動」などを整理する必要があります。
学習環境も保障する必要がある
楽しく過ごせる場を保障するのはいいのですが、一方で、知的障害がある場合には国語や算数などをみんなと同じペースで学んでいくのは難しいという点を忘れてはいけません。本人が自分に合ったペースでしっかり学んでいける環境も、保障する必要があるわけです。
特別支援学級に所属して主な授業は支援級で受け、通常学級との交流にも参加するという方法もあります。学べる環境を保障しながら、友達と交流する機会も保障するというやり方です。
通常学級は約7割の平均的な子ども向け
通常学級では多くの場合、平均的な子どもに合わせて一斉授業が行われています。偏差IQで考えると、平均的な子どもたちというのは全体のおよそ7割です。それ以外の約3割の子どもたちにはフィットしないところも出てきます。
そのうちの半分が知的障害や境界知能の子どもたちで、通常学級の学習のペースが速すぎてつらく感じるのです。また、知的機能には遅れがなくても、発達障害の子は集団行動や対人関係などが苦手で、通常学級の授業や活動に馴染めないことがあります。