〝しちゃいけないもの〟という固まった考え

夫婦間のセックスに問題を抱えている女性も少なくないという。

「射精すると気持ちいい、セックスとは挿入して射精するものという意識が夫から抜けないため、『射精すると疲れるから』『セックスはしんどい』と夫側が拒否して、夫婦間でのセックスがなくなってしまっている人もいました。そこを改善するとなると、男性の射精がゴールという認識を変えるしかないですよね」(同)

また、現在の高齢女性では恋愛結婚ではない人も多く、夫婦関係も性別分業意識が高いため、「結婚とはこういうもの」「夫婦とはこういうもの」という結婚した当初の常識のまま生きている人もいるだろう。

70代女性も。高齢者利用が急増! 女性用風俗を利用するシニア世代の驚きの実態…女性もお金を払ってスッキリ遊ぶ時代に_2

「セックスを義務みたいにしているんです。だから、気持ちいいか、満たされているかというと当然そうではない。しかし『それが幸せだったんじゃないの?』という感じなんですよね」(同)

経済的に安定した生活のために結婚した場合、性生活へのウエイトが軽くなることは仕方ないのかもしれない。妻としての役割を果たし、母として充実した日々を過ごせているのなら、一人の女性としての幸せが満たされなくても構わない。そんな思いで生活を重ねる人は、今も珍しくはない。

「セックスが義務みたいになってしまうのは今の人たちも変わらない部分があると思います。好きな人と結婚しなくてはいけないと子供に教える一方で、風俗やAVのようなエロいことはダメと言う。子供からしてみたら、性教育も受けないまま成長し、社会人になったら『いつ子供を産むんだ。孫の顔が見たい』と言われる。

性について何も教えられず、情報も与えられてないのに突然放り出されて、無茶苦茶言われている状況ですよ。こういった部分をこれから変えていかなければならないのではないでしょうか。性教育として大事なことかと思います」(同)
 

実際に、女性用風俗を利用した50代の女性に話を聞いた。

「結婚・出産してから、会社と家の往復の毎日だったんですよね。特に不満もなかったのですが、上の子が小学校高学年に差し掛かる頃に、自分自身について構っていないことにふと気づいたんです。家と仕事と育児だけで自分のケアを忘れていたんですよね。

鏡を見たら、ヒゲが生えているような枯れ果てた状態で、ものすごい老け込んでいたんです。夫との営みはかろうじてあったのですが、濡れなくなってきていました。するのが面倒だし、濡れないから気持ちよくないし……そんな状況です。

それで、人生がこのまま終わってしまうのかなという危機感を覚えたんですよね。なんで私、こんなに老け込んでしまったんだろうって。それで思い返してみたら、私、夫と結婚したけど、心に残るような恋愛してないなって気づいたんです。

性に対する欲求も特別何かあったかといったらなかったし。育った家庭が性に対して厳しかったので、セックスに対して〝しちゃいけないもの〟という固まった考えもありました。だから、セックスについて知りたいって思ったんですよね。でも、一般男性とそういう関係を結ぶことには抵抗がありました。何かないかなと探したところ、サービスとして提供しているところがあったので利用してみようと思ったんです」

このようにして女性用風俗を利用する人は多いのではないかと感じさせられた。