野菜と小麦粉の100%国産使用は毒か薬か
フードコートは、他店と価格を比較されるというデメリットがある。長崎ちゃんぽんは780円だ。丸亀製麺のかけうどんは390円。トッピングで野菜のかき揚げ180円を加えても570円だ。
トッピングを自由に選べることや、天かす・青ねぎを無料で入れられることを考慮すると、丸亀製麺のお得感が強い。こうなると、先ほどのポジショニングによる優位性は消失し、コストパフォーマンスが大きなウエイトを占めるようになる。
リンガーハットが値下げをするのは難しいだろう。この会社は野菜と麺・餃子の小麦粉はすべて国産を採用し、契約している農家を月別に紹介するなど徹底的に素材にこだわっているからだ。
値下げができずフードコードで集客に苦戦すると、ロードサイドが主戦場になる可能性が高い。しかし、ロードサイドは消費者の比較検討要素が少なく、移動する間の一瞬で長崎ちゃんぽんを食べる理由を想起させなければならない。ラーメンほど食べ物としての認知度が高くないため、これは簡単ではない。
テレビCMや近隣にチラシなどを配布し、消費者にリンガーハットというブランドの純粋想起を促す宣伝活動が必要だ。そうなれば広告費がかさんで利益を圧迫するだろう。
業績回復への険しい道のりを、リンガーハットはどうひっくり返していくのだろうか。
取材・文/不破聡