日銀の援護射撃もむなしく円安は是正されず

まずは会社全体の業績推移を見ていこう。

ニトリは2023年に決算月を2月から3月に移している。そのため、2023年3月期の数字は13か月と11日だ。2023年3月期に売上高が9481億円となり、2022年2月期と比較して16.8%増と大きく膨らんでいるのはそのためだ。

単純な比較がしづらいため、本業で稼ぐ力を見る営業利益率を見ると、その変遷がよくわかる。2023年3月期の営業利益率は14.8%だった。2022年2月期と比較すると、2.2ポイント落としている。2023年4-12月の営業利益率も14.7%だ。回復していない。

ニトリの売上高、営業利益、営業利益率比較 ※決算短信より筆者作成
ニトリの売上高、営業利益、営業利益率比較 ※決算短信より筆者作成
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ニトリが利益面で苦戦している要因は3つある。1つ目は極端な円安に振れたこと。2つ目は国内の家具需要が鈍化していること。3つ目は島忠の業績が回復しないことだ。

製造から物流、販売までを一貫して行うニトリは、生産の多くを海外に依存している。そのため、円安がマイナス要因となりやすいのだ。

2023年3月期は仕入れによる為替の影響がマイナス487億円だった。2023年4-12月も仕入為替が営業利益を261億円も押し下げている。2024年3月期は1ドル130円で予想を出している。3月25日の時点で1ドルは151円だ。

日銀がマイナス金利を解除したにもかかわらず、円安は是正されない。日本とアメリカの金利差は大きく開いており、わずかな利上げでは微動だにしないのだ。日銀の利上げペースは依然として慎重。ニトリにとっては円高に期待できた援護射撃が弾切れになったも同然だ。

リモートワークの実施率は7割から4割まで縮小

家具市場の冷え込みも逆風だ。矢野経済研究所によると、2023年の家庭用家具市場規模は6830億円(予想)。前年比3.7%の減少である(「家庭用・オフィス用家具市場に関する調査を実施(2023年)」)。2024年も1.3%の減少を見込んでいる。

家庭用家具のターニングポイントになったのが、新型コロナウイルス感染拡大による自宅時間の増加だ。リモートワークが進んだことで仕事に必要な家具を買う動きが強まった。2020年の家庭用家具市場は、前年比6.5%増の7069億円だった。

ニトリは2021年2月期の家具販売事業の国内外での売上高が、前期比11.8%増の7040億円と大幅に伸びていた。

しかし、現在は需要が一服して市場は停滞感が漂っている。

東京都の調査では、2023年9月のリモートワークの実施率は45.2%だ(「テレワーク実施率調査結果 9月」)。2023年1月の実施率は50%を超えていたが、4月の新年度で比率は大きく下がった。かつては70%近くまで達していた。

リモートワークが働き方の一つとして残ることは今後も考えられるが、これ以上広がりを見せる可能性は低いだろう。