自信に溢れた強い自分の中にいる弱い人間
――このアルバムではショッキングな描写も多くて、主人公である自分を、もうひとりの自分が攻撃したり、壊したりするわけですよね。世界で活躍するロックスターであり、パーフェクトなMIYAVIという存在と、原点としてのやんちゃなギターキッズのMIYAVIのふたりがずっと戦い続けているというストーリーを、全編で描いていると感じました。
そうですね。僕のパブリックイメージって、自信があって、ギターを鳴らして「Be Strong!」って言い続けているような強い人で。もちろんそれも自分ではあるし、自分でも強くなったと思う。だけど、その中にはいつも弱さもあるんですよね。そういう弱い自分と対峙をしてきた結果が強い自分であり、さらに強くありたいと今も思っている。そしてこの対峙のプロセスは、強くても弱くても変わらないはずなんです。
だから僕はこのアルバムの曲が、聴いてくれる人たちにとって自分が自分に向き合うための歌であってほしいし、自分の弱さと向き合うとき、僕、私だったらこういられるんじゃないかって気付ける楽曲であってほしい。
単純に言うと、今までは、「強くなろうぜ!」で終わっていたけど、その強くなるプロセスを「こうすればいい」ではなく、自分がたどるプロセスを表現した上で伝えたいと思ったんですよね。だから今回、歌詞も世界観も、すごく時間をかけて作りました。
『Lost In Love, Found In Pain』というタイトルも、文字通りこのアルバムをまさに表現していて。普通は、痛みの中で見失って、愛の中で救われるはずなんだけど、その逆で。僕たちは、人や物や街、夢もそうですけど、愛するものの中で時に自分を見失ってしまう。そして、苦しい時間や受けた痛みの中で本当に一番大事な自分を見つけることができる。自分の痛み、弱さ、苦しみやかっこ悪さみたいなものと対峙しないとそれって見つからない。だから、すごくストイックな意味合いも含んでいると思います。