すでに1億円を投じた小規模開発ゲームも存在
――各ゲームの資金面についても聞かせてください。
森 プロジェクトによって異なりますが、どのプロジェクトもクリエイターさんが開発に専念しながら十分に生活できる資金を出資しています。開発費・宣伝費はゲームの大きさによって異なりますが、どこも数千万円は投資していて、大きいプロジェクトですと1億円を超えるものも生まれています。
――契約はどのようにして交わしていますか。
森 双方がきちんと納得できるよう、丁寧にやり取りするよう心がけています。このくらいの資金提供をするのであれば、このくらいの価格で・このくらいの数量は売りたいといったリスクとリターンの話もします。僕らは良い条件を出している自信はあるので、他社さんと比較したうえで判断していただきたいとも伝えています。
リスクとリターンのバランスなど調整していることもあり、契約内容はチームによってバラバラです。こまかくやり取りし、双方が納得してから契約しているのでこの2年間で大きな問題も今のところほぼ発生していません。
最近ですと、ありがたいことに10社ほどから声をかけられたゲームクリエイターさんにお声がけをした際に、色々な条件交渉があったのですが、最終的に集英社ゲームズを選んでいただけたので、自信も付きました。
――契約はゲームタイトル単位ですか?
森 はい。ですが、1作で終わるのではなく、「集英社ゲームズで一緒に作品をまた作りたい」と思ってもらえるような組織を作るのが僕たちのミッションです。
ゲームに合わせてプラットフォームを柔軟に選択
――開発費・宣伝費などはゲームの販売で回収して利益を上げるのだと思いますが、ゲームの価格はどの程度になりそうですか。
森 AAAタイトルと並ぶ規模感の作品ではありませんので、特段高くはならない設定になってくると思います。たしかに投資としてのお金はかかっていますし、売れてくれないとマズいので、しっかり戦略を立てていかないといけないのですが(苦笑)
――インディーゲームは安価なものが多く見られます。ライバルとして意識した値付けになりますか?
森 安さで勝負するつもりはありませんが、ゲームユーザーさんに遊んでみようかなと気軽に思ってもらえるような価格感は模索したいと思っています。白物家電のように「漫画を1冊買ったからもう他の漫画は買わない」ということはない業界なので、グローバル規模で良い価格設定を狙っていきたいです。
山本 むしろ「インディーゲーム」「AAAタイトル」のような型にはめられないようなゲームがたくさん生まれてくるのが理想ですね。
モバイルだったら売り切りモデルはキツいとか、AAAタイトルは安心できるクオリティだけど冒険できない内容になっているとか、誰が決めたわけでもない「定石」は数多く存在します。
ですが、そんなゲーム業界の定石がひっくり返る事態は何度も起こりました。ポケモン1本で復活したゲームボーイとかがそうですね。ですので、停滞しているポイントの裏を突くのも戦略としてはアリでしょう。