あなたはどうしてブロックチェーンのスタートアップに?
——難波さんは学生時代からブロックチェーン技術に興味があったのでしょうか?
当初はまったく興味がなかったです。大学院では物質理工学を専攻し、半導体について研究していましたので(笑)。「サファイヤの単結晶基板上に原子を吹きかけて堆積させて、それの物性評価や結晶構造評価などの検証をする」などの実験に取り組んでいました。
ですが大学院在籍中の2017年頃からNFTに興味を持ち始めて、自分なりにNFT開発の知識をつけて実際に開発をしていました。この頃からエンジニアとして生きていく道を考え始めましたね。
——そのままブロックチェーンを扱う企業に就職した、と?
そうです。2018年6月にアーリーワークス共同創設者兼CTOの山本に出会って、衝撃的なことがありまして。
当時は周囲でWEBサービスを開発している人は多かったんですが、ブロックチェーンを用いたプロダクトの開発はかなりニッチでした。僕はもともと、ニッチな分野に取り組むのが大好きで。だから大学院での研究も「ナンバーワンよりオンリーワン」を目指そうとしていたんです。要は、尖った仕事がしたかったんですよね。
そんな思いを抱いていた当時、山本に会う機会があって、彼が書いたブロックチェーンに関するソースコードを見せてもらったんです。そうしたら、一目でわかるほどの技術力や、すさまじい思想設計があることを知りました。
彼のもとで成長すれば僕も一線を張れるエンジニアになれるはず。そう思って僕が猛アピールし、入社が決まりました。ちなみに会った場所は、磯丸水産。居酒屋でブロックチェーンについて熱く語る私たち……不思議な構図だったかも(笑)。
——入社後、思い描いていた業務と実際の業務にギャップを感じることはありましたか?
たくさんありました。そもそも僕はブロックチェーンを使ったプロダクト開発を「チームで取り組む仕事」と考えていなかったんですよね。個人スキルを高めてコーディングしていけばよいと思っていました。
でもプロジェクトには当然ながらさまざまな人が関わり、力を結集させるからこそ高水準のサービスができあがります。視野が狭いし、めちゃくちゃ尖っていましたね……。
——ITサービスを開発する方は、画面を注視しながら一心不乱にタイピングし、エナジードリンクを飲んでいるイメージがあります(笑)。1日の仕事の流れを教えてください。
意外と普通なんですよ。当社はフレックス勤務制で、午前11時から午後3時がコアタイム。11時頃に出社して午後8時頃に帰宅する方が多いですね。ランチはメンバーと一緒に外で食べたり、休憩時間にコンビニでお菓子を買ったり。
最近僕は事業開発を担当しているので、お客様への説明資料の作成や、外部人材・社内人材への仕事の振り分けなども行っています。
——ブロックチェーン技術やサービス作りを突き詰めた先に、どのような将来を描いていますか?
ブロックチェーン技術を活用することで、さまざまな業種でこれまで不可能だったことが実現できるようになります。例えば、NFTを活用してデータベースを構築すれば、これまで実現できなかった「著作権者へのロイヤリティ還元」も可能になるはずです。これはほんの一例。今後はさまざまシーンでブロックチェーンの技術が使われるでしょう。
だからこそブロックチェーンに関するエンジニアリングスキルやサービス構築スキルは、今後ますます需要が高まると思います。会社の未来も、個人としての未来も、開けているなと感じますね。
取材・文:平林亮子 撮影:塩川雄也