最近、大手企業などが「ブロックチェーン」を活用した革新的なサービスやプロダクトをリリースした、というニュースを頻繁に耳にします。しかしブロックチェーンの概念を正確に理解できている人は少ないのではないでしょうか。
そこで今回、ブロックチェーン技術に特化したスタートアップ、株式会社アーリーワークスのCEO小林聖氏に、ブロックチェーンに関してごく簡単に教えていただきました。
ブロックチェーンとは? 誰でもわかるように教えてください!
——そもそもブロックチェーンとは何でしょうか。検索しても難しい説明しか出てこないのですが……簡単に教えてください!
小林(以下略)ブロックチェーンは、私たちの暮らしの利便性を向上してくれる技術のひとつです。
例えば、AIは「システムが学習し、あらかじめ決められた計算やアプリケーションの操作を自動でやってくれる」、IoTは「スマホを使って家電などが便利に利用できる」などと連想しませんか? ブロックチェーンも、これらと同じくらい身近に使える技術だと思っていただきたいです。
ちなみに、インターネットでブロックチェーンとは何か調べると、「P2P」や「暗号技術」といった耳慣れない言葉が出てきて、身構えてしまうと思います。だからひとまず、そういった用語は忘れてください。
ブロックチェーンの技術は暗号資産(仮想通貨)などにも使用されており、そちらがいまだ有名です。しかし今後のビジネスにおいては、データを蓄積する「データベース」の一種として個人資産を安全に守り、「本物のデータがどうか」を証明するようなシーンで活用されていくことが一層期待されています。
これまでのデータベースと大きく異なる点として、わかりやすくたとえるなら、従来のデータベースは「シャープペン」のようなもの。一方で、ブロックチェーンは「ボールペン」のように記録がずっと残っていくものです。
——「ブロックチェーン=ボールペン」。それはどういうことでしょうか?
普段使用されている方も多い「Excel」を例にあげて説明しますね。例えばExcelで表を作成して「りんご、バナナ、みかん」と入力したとき、正しくはバナナではなくて「パイナップル」だったとします。修正する際は「バナナ」を消して「パイナップル」と入力しますよね。
いわゆる「上書き保存」。シャープペンで書いたものを消しゴムで消して、上から書き直すようなものです。仮に「バナナ」という前の記載内容を取り戻したくても、場合によっては元には戻りません。
一方のブロックチェーンを用いたデータベースでは、すべての修正履歴を残すことができます。ボールペンでの記載を修正するときには、上から二重線などを引いて訂正しますよね。つまり修正した履歴に可視性が存在し、それを否定する形で修正を行う。また、ボールペンは当然消しゴムで消せません。
このように、以前はどのようなことが書かれていたのか、今は何か書かれているのかが一目瞭然でわかるのが、ブロックチェーンを活用した新しいデータベースなんです。