コメディとシリアス――異なるテイストを描くポイント
――『【推しの子】』はコメディとシリアスのバランスも魅力的ですが、それぞれ演出の工夫はされていますか?
赤坂 コメディのところはセリフを太字にして、笑っていいポイントをわかりやすく伝えるようにしています。笑いのサインを示したほうが読者もわかりやすいと思うので。
横槍 作画においてもコミカルな場面とシリアスな場面でメリハリがつくように意識してます。コミカルに描きたいときは『かぐや様は告らせたい』(以降:『かぐや様』)を研究しながら。
赤坂 一時期シリアス寄りのシナリオを考えることに対して苦手意識が芽生えたこともあったんですよね。『ib-インスタントバレット-』っていうシリアスな作品と、コメディ要素が多い『かぐや様』を同時に連載していたとき読者からの反応が大きかったのが『かぐや様』だったので。ただ『かぐや様』でシリアスなエピソードを描いたとき、読者が楽しんでくれたから「シリアス系も受け入れてもらえるんだな」と自信がつきました。
横槍 アカ先生はシリアスな話を考えるほうが得意なのかと思ってた。
赤坂 根っこはそうだよ。人が曇っている話を描くのは大好きだし(笑)。でも自分に向いているのは、どちらかというとコメディなのかなって思ってる。
横槍 やりたいことと適性が一致しないこともあるよね。
赤坂 『かぐや様』と『【推しの子】』はコメディとシリアスのバランスの割合が逆だから、最初はちゃんと成立させられるか不安だった。
――赤坂先生は現在「週刊ヤングジャンプ」にて『かぐや様』と『【推しの子】』と同時連載中、横槍先生も以前2作品を同時に連載されていた時期がありますが、複数の作品を同時に連載する際はどのように気持ちを切り替えているのでしょうか?
横槍 結構毛色の違う作品を連載していたんですけど、私自身飽きっぽい部分があるので性に合っていましたね。だから意識して切り替えてはいないかも。
赤坂 僕は生活の中で常にどちらかの作品のことを考えているので、自然と切り替えられます。原稿が終わったらずっとゲームばっかりして遊んでるわけではないんですよ(笑)。普段から頭を使って考えて、手を動かす時間をなるべく短縮するように心がけています。