今こそ“カジュアル敬語”のススメ

最近では、就職氷河期世代の正社員採用や転職の増加もあり、会社で年上の部下や年下の上司など社歴と年齢が比例しないケースが増えている。そのため、これまでの敬語も必然的に変わらざるを得ない状況だという。

「丁寧過ぎる敬語を使い続けると、年上の部下は自尊心が傷つくし、年下の上司もなんだか気まずい。そんなときに意外と汎用性があるのが、『わかったッス』『いいッスよ』といったカジュアル敬語。本来ならば、『です』『ます』と言うべきところを崩した表現で、1960年代に関西で誕生したという説が有力です。東京では野球や柔道など部活動を通じて広まったとされ、後輩敬語や体育会敬語とも言われます。これらを正しい敬語ではないと思う人もまだまだ多いですが、こうしたカジュアル敬語には、一定の敬意を込めて相手を立てながら、同時に心理的距離を近づけるという効果があります」

従来の敬語は、十分な敬意を相手に伝えられはするが、相手と一定の距離を置くという副作用もあるそうだ。しかし、カジュアル敬語は敬語とタメ口のいいとこどり。

「商談相手、取引先にこそ使えませんが、目上、目下という立場があいまいになりつつある社会の中で、上手に使いこなすことができれば、職場でよりよい対人関係を築くことができるのではないかと考えています」

埋めてみせよう、世代間ギャップ

一方で、敬語を使われる年長者や上司が気をつけるべき点とは。

「敬語が“進化”し、日本語全体がさらに丁寧になってきた昨今、若い世代は年配者の端的なもの言いや軽い命令口調をキツい言い方だと捉える傾向にあります。年長者は、これまで自分たちが正しいと信じてきた日本語の使い方、敬語表現こそ時代に適っていないのかもしれないと相手の立場を考えることも大切です。若者の敬語に違和感を覚えても、世の中の変化に合わせた敬語を使おうとしているのだと思えば、多目に見てあげられるはず。とはいえ、そういって素直に受け入れられる年配者がどれだけいるかはわかりませんが(笑)」

敬語は時代と共に変わるもの。上の世代が正しいと思う敬語が今の時代にそぐうとは限らない。迷うより慣れろ。そして上司にも慣れさせろ。それがおすすめッス⁉︎