転職エージェントにあおられるがまま転職を繰り返してしまえば、転職先で長く働くことも、能力を身につけることも難しくなっていく。

「ですから、転職前の心構えとして大切なのは、『転職が人生を良くしてくれる』のではなくて、『人生を良くできる人が転職を使うことによってちゃんと良くなっている』という、その前後関係を理解すること。自分は果たして今の会社でも、転職先でも活躍できる人材になっているかどうか、きちんと考える必要があると思いますね」

転職は異世界転生じゃない! 待ち受ける「上司ガチャ」「部下ガチャ」への対処法_a

会社ガチャ、上司ガチャがあれば、部下ガチャもある

2021年、流行語大賞にノミネートされた言葉のひとつに「親ガチャ」がある。「親ガチャ」とは、子どもは親を選べず、家庭環境や境遇は運任せだという意味。カプセルトイのように購入するまで中身がわからない、ソーシャルゲームにおけるシステム「ガチャ」に由来している。

「わたしの友人でリザイン・マネジメント研究家の佐野創太さんは『退職学』という考え方を提唱していて、その中でおっしゃっているのが、親ガチャ、子ガチャ、会社ガチャ……もう全部ガチャだ、と。はたしてどんなガチャを引くか、会社ガチャで言えば、どんな人と一緒に働くことになるかはわからないということです」

就職活動の面談で感じの良い社員を見て『この人がいる会社なら働きたい』と思うのは、よくある勘違い。実際に、どんな社員と働くことになるのかは良くも悪くも運次第だ。

「だからこそ、どんなガチャを引いても自分が使いこなすぞ、と思わないといけません。それと同時に理解しておかなければならないのは、部下が会社や上司に対して不満を持つように、会社や上司も部下に不満を持っている、ということ。つまりはあなたも“部下ガチャ”として評価されるということです。なので、自分がちゃんと職場に貢献しているのか、みんなに喜ばれているのかを今一度振り返ってみると良いでしょう」