自分には大川隆法の
霊言が聞こえる
本村 幸福の科学も、「自分には大川隆法の霊言が聞こえる」と言って、新しい文書が出てくる可能性があるでしょうね。北朝鮮みたいに「未発表の霊言が見つかった」という形にするかもしれませんけれど。それをやらないと、信徒をつなぎとめておくのが難しいでしょう。
佐藤 だから本当は、テキストをしっかりつくっておくことが大事なんです。そういう点で創価学会が優れているのは、まず『池田大作全集』が150巻で完結しているんですね。それから、正史である『人間革命』は第2版が出て、もう初版は使いません。第2版では、日蓮正宗総本山の大石寺は極悪非道だという内容に改訂していますから。
本村 日蓮正宗が1991年に創価学会を破門しましたからね。
佐藤 さらに『新・人間革命』があり、日蓮の遺文集の御書も2021年に創価学会版をつくりました。これ以上、新しいテキストは出てきません。もう創価学会は完全に閉じた教団になったわけです。
彼らは世界宗教になることを目指して、キリスト教やイスラム教をよく見ているんですよ。とくにキリスト教をよく見ていますね。
たとえば聖書には「イエス以外を先生と呼んではいけない」と書かれています。だから弟子たちはお互いを「兄弟姉妹」と呼び合っていました。
創価学会の会憲も第3条で、牧口常三郎、戸田城聖、池田大作という「三代会長」の敬称は「先生」とする、と明記しています。ですから創価学会の建物の中では、学者が来ても医者が来ても「先生」とは呼ばない。すごくキリスト教と似ています。「先生」と呼ばれる特別な人をつくることで、ほかのすべての人は平等になるわけです。
彼らは別にキリスト教を真似たわけじゃないと思いますが、教団を維持していくことを考えると、自然と構成が似てくるんですよ。
そういう意味で、池田大作の『人間革命』と『新・人間革命』は、いわばイエス誕生後が書かれた新約聖書なんです。日蓮の遺文集がイエス誕生前の旧約聖書。それを合わせたものが規範化されているわけです。