前回と違って思い切ってチームを変えられた

「もう少しこうしたら勝てるのになあ」

そう思っても記者席からは、どないもできん。やっぱりユニホーム着てやるほうが、野球いうんは楽しいもんやな。

今回、改めて『オリの中の虎』を読むとやはり、一回目の監督のときは野村監督、星野監督の次という意識がものすごく見える。2003年に星野監督で優勝した。翌2004年からおれが監督として引き継いだチームは、ある意味完成されとった。

岡田監督が今も忘れない名将・仰木彬との約束「仰木さんから声が掛からなかったら、指導者にはなっていなかった」_3
1985年の日本一の際は岡田監督は選手として貢献した  写真/shutterstock
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ベテランが多かった。35歳を超える、最盛期の選手が中心やった。だから簡単には触りにくい。03年は三塁ベースコーチやった。選手の力量はよく分かっていた。

「伸びしろが少ない。今がピーク。しばらく簡単には勝てないぞ」という戦力が分かるから、きつかった。難しさともどかしさがあった。2010年からのオリックス監督時代は、ソフトバンクという絶対的な強さを持ったチームがいた。

今回の2023年。監督としてのスタートは、まったく違っていた。直前までは記者席でずっと、チームを見ていた。コロナもあって余計に、じっくりと試合を見て観察できた。

「もうちょっとこうしたらいいのになあ」という思いがあった。05年からずっと優勝していないということもある。本当の白紙からスタートできた。思い切ってチームを変えられる。自分がやりたいと感じていたことを、思い切りやれる。そうして日本一になった。

「ありがとうございます」とファンに対する感謝の気持ちも、自然に言葉となって出た。

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『普通にやるだけやんか オリを破った虎』(Gkken)
岡田彰布
岡田監督が今も忘れない名将・仰木彬との約束「仰木さんから声が掛からなかったら、指導者にはなっていなかった」_4
2024/3/14
1,540円
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ISBN:978-4054069817
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もう「アレ」とは言わない。そら連覇を目指すよ。
38年ぶりの“アレのアレ”に導いた虎の名将が、
いまだから明かす「岡田の考え」。
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★おれのほんまの気持ち、書くわ
「優勝して出たのは涙より感謝の言葉」
「出来ることを普通にやる、出来ないことをしようとするな」
「作戦はブランコに乗って考えた」
「短所を直すよりも長所を伸ばしてやる」
「采配とは失敗したときに慌てず対応すること」
「言葉よりも行動で信頼を伝える」
「大切なのは“引き出し”をたくさん持つこと」
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