「大谷翔平のご親族」に限って飲食代全額無料のメイドカフェ

大阪府松原市の書店「丸善セブンパーク天美店」には「大谷翔平選手 祝結婚」と掲げた特設コーナーが設置された。アイデアを出した20代の女性店員は、取材にこう答えた。

「もともと2023年のWBC期間にも、大谷くんが掲載された雑誌やフォトブックなどを置いた特設コーナーを設置していたので、今回で2回目の試みになります(笑)。私自身、前回のWBCで大谷くんのファンになった一人ですし、今回の結婚のニュースをキッカケに、個人的に『大谷くんの過去を振り返りたい』と思って特設コーナーを作りました。

残念ながらまだ1冊も売れていませんが、この書店は商業施設の中に入っているので、土日はたくさんの親子連れの方が来られます。そういったお客さんにお手にとっていただけたらうれしいですし、みんなで大谷くんの結婚を祝福できたらいいですね」

さらに「X」の海をサーフィンすると、まさしく意味不明の“祝砲”にもぶち当たる。近畿地方の派遣型リフレ風俗店は3月1日から1000円割引キャンペーンを始めたそうだが、なぜか「大谷翔平が結婚したってことでイベント価格から更に−1000円させて頂きます!! [Xを見た]と伝えてください」と謳っている。

大谷の結婚に便乗した派遣型リフレ店(店舗SNSより)
大谷の結婚に便乗した派遣型リフレ店(店舗SNSより)

ほかにも「X」には、オンライン診療クリニックの便乗商法とみられる投稿もあった。

大谷翔平がWBC決勝前に語った「憧れるのをやめましょう」という名言を引用した、「#理想のボディ、憧れるのをやめましょう」という文言に加えて、いわゆる「痩せ薬」と呼ばれる「サクセンダ」や「リベルサス」を17%オフにするとしている。

これらの薬は、服用することで血糖値を下げるインスリンの分泌が促進されるほか、胃腸の動きを調整し食欲を抑制するためダイエットに効果があるとされる。しかし欧米では抗肥満薬として認可されている錠剤のサクセンダは日本では保険外診療で、リベルサスも本来は2型糖尿病患者に処方される糖尿病治療薬で、近年では健康被害も相次いでいるものだ。

こうした怪しげな便乗商法の一方で、正々堂々と企画力で勝負するコンセプトカフェもある。

新宿・歌舞伎町のメイドカフェバー「Luvpia」は2月29日夜に急きょ「大谷翔平結婚祝いイベント」を開催。「メジャーリーグでプレー経験がある方」や「大谷翔平のご親族」に限って飲食代全額無料、苗字が大谷または名前が翔平、もしくは身長193センチで岩手県出身の場合はチャージが1時間無料になるという。30代の男性店長は笑いながらこう話した。

店舗SNSより
店舗SNSより

「この企画の条件は自分が考えたんですけど、わざと『大谷翔平本人』くらいしか当てはまらないようにしてるんすよ(笑)。実際に昨日は15人ほどお客さんが来ましたが、飲食代全額無料の人はおろか、チャージ1時間無料になる名字が『大谷』や『岩手県出身』の人すら来ませんでした。

だからお客さんも笑いながら『こんな条件に当てはまるヤツいるわけねーだろ』と突っ込んでくれたり、逆にこっちは『あれ、メジャーリーガーじゃないんですか?』とイジったりと、営業トークのひとつのネタとして使えるんです。

ウチのコンカフェでは、こうしたおふざけイベントを定期的にやっていて、それこそ阪神タイガースが優勝したときは、阪神のスタメンメンバーの名字だったらチャージ1時間無料にしました。そのときは『佐藤』というお客さんが来たので無料にしましたね。今後もネタになるものがあればどんどん便乗していきたいと思ってます(笑)」