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就活は経営でできている

就職活動は三文芝居の笑えない喜劇で満ち溢れている。

しかもほとんどの就活生はそれを演じていることに気が付いてすらいない。

たとえば就職活動において数100社から無残にも入社をお断りされた悲劇的な就活生の話題は日常的に耳にする。だが、よくよくきいてみると、そして冷静に一歩引いてみると、そうした就活生は明らかな経営の失敗によってみずから悲劇的状況に陥っていることが分かるだろう。

しかも書類上の学歴・経歴が人一倍立派な就活生ほどこの罠にはまる。

こうした就活生は、まず、大抵において真面目である。だから日商簿記2級、英検準1級、普通自動車第一種運転免許、お洒落カフェ会員証くらいは持っていたりする。しかしいざ就職活動が始まって副ゼミ長と副部長まみれの(実に人口の半分が副ゼミ長・副部長経験者と思えるほどだ)有能アピール大会に参加しているうちに不安になる。

そこで「下手な鉄砲も数撃ちゃ当たる」方式で、50社、100社と他の就活生の何倍もの数の企業に入社希望を出す。

〈日本の就職活動の悲劇〉祖父母の教えと部活とゼミとインターンが統合された結果「広告を通じて環境問題を解決する」という意味不明な志望動機が生まれる謎_1
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するとひとつの企業の応募書類(志望理由、学生時代に力を入れたこと=通称ガクチカ、自己PRなどなど)にかける時間と労力が相対的に少なくなる。そのため、たとえその就活生が他者と同じ能力を持っていたとしても、出来上がった応募書類の出来栄えは当然ながらライバルたちの数分の一以下だ。

その結果これまた当然ながら書類審査で落選する。あるいは運よく面接に進めても、そこで改めて応募書類を読まれてその稚拙さに呆れられる結果となる。応募書類を使い回しすぎて貿易商社の志望理由に自動車製造企業の志望理由と同じことが書いてあったりするのだから、怒られないだけましだろう。