発症から2、3日で昏睡状態に陥り死に至る…狂犬病のヤバさ
「まねき猫ホスピタル」の院長で獣医の石井万寿美氏は「今回は何より、狂犬病の予防接種を怠っていたことが非常によくないと思います」と言う。
「今回の報道で私が一番驚いたのは、狂犬病の予防接種を一度も打っていなかったという点です。日本には狂犬病予防法という法律があり、犬の所有者は犬を取得した日(生後90日以内の犬を取得した場合は、生後90日を経過した日)から30日以内に、狂犬病予防注射を打って、その犬の所在地を管轄する市町村長に登録を申請しなければならないのです」
石井院長によれば昨今、国内では狂犬病は発生していないが、海外では発生しているため「飼い主が予防接種の徹底を意識しなければいけない」と指摘する。
「国内では昭和31年(1956年)を最後に、狂犬病を発症して人間が亡くなったケースはありません。しかし海外では今も狂犬病が発生しているので、犬に噛まれたら注意をしなくてはいけません。
もちろん、噛まれた後にワクチンを打てばほぼ発症はしないですが、もし仮にワクチンを打たずに狂犬病を発症すれば効果的な治療法はなく、ほぼ100%の方が亡くなります。いくら60年以上、日本で狂犬病が発生していなくても注意は必要です」
狂犬病を発症すると、どうなるのか? その恐ろしい症状も聞いた。
「通常は咬まれてから30~50日後に狂犬病ウイルスが脳や脊髄に到達して発症すると言われています。その症状は、発熱、頭痛、全身のだるさ。さらに錯乱し、強い興奮状態に陥ります。さらに幻覚や不眠症が生じて奇妙な行動をとったり、唾液が大量に出ます。
狂犬病は発話や呼吸を制御する脳領域を侵すため、喉頭の筋肉がけいれんします。このけいれんは耐えがたいほどの痛みを伴うのです。そよ風にあたったり、水を飲もうとしたりするとけいれんが誘発されるため、狂犬病の患者は水を飲めなくなります。このため、狂犬病は恐水病とも呼ばれているのです。発症から2、3日で昏睡状態に陥り死に至ります」
ネット上では噛みついた四国犬を批判する人はほとんどおらず、狂犬病の予防接種を怠っていた飼い主への批判が高まっている。今後、すべての犬の飼い主は予防接種を徹底してほしい。
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取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班