職員のデータベースにも名前は記載されない
公安は大きく分けて、国外の公安情報を集める外事警察と国内の公安情報を集める公安警察に分けられ、外事警察は朝鮮半島、中国、ロシア、国際テロの4部門に分かれ、中国には他のアジア諸国、ロシアには他のヨーロッパ諸国も含まれている。公安警察は、共産党、右翼、極左等に分類されている。警察庁関係者が公安警察について説明する。
「公安は警察庁警備局をトップに各都道府県警に警備部公安課を配置しています。警備部は警衛警護、いわゆる機動隊に代表される“実施系”と“情報系”に分かれています。一般的にイメージされる公安は後者で、日常的に各都道府県の公安同士が連絡を取り合い連携して捜査を行います。
昨今ではそのような公安の捜査手法を踏襲して、刑事警察も『匿名・流動型犯罪グループ』(トクリュウ)などの捜査を都道府県警の垣根を越えて行うようになってきています」
テレビドラマや映画などで描かれる公安は他人に素性を隠し、国際テロ組織などと対峙するダークヒーロー的な印象だが、そのイメージ通り、希望したからといって誰しもが「公安に入れるわけではない」(公安関係者)と言う。
「一般採用の場合、まずは配属先の地域課で実績を上げなければなりません。そして(配属先の)警備部門で評価されて推薦を受け、試験に合格できないと公安警察には任命されません。一度公安警察になると内部の職員のデーターベースにも名前が記載されないほど情報管理が徹底されます。
任務の秘匿性も高く、もし身元がバレたら自身や家族に危害が及ぶ可能性もあるため、ほとんどの公安警察が配偶者やこどもにも自分の仕事について話すことはありません」